英首相、スーダン訪問から見えること

ブレア英首相がスーダンを訪問した。訪問した理由はもちろん、西部ダルフール地方で起こっている紛争について政府と協議するため。スーダンを訪れた要人としては最高レベルとなるといいます。イギリスはアメリカと共に国連決議に関わってきたものの、アメリカがダルフールでの出来事を「ジェノサイド」と口にしていたのに対して、外相が訪問した際には一定の政府の度量を認めるという発言をするなど、立ち位置が少し違うようです。

もともとイギリスの植民地にあったスーダン。56年の独立以来、首相が訪問するのは初めてだといいます。やはり元植民地であったということは、政策に大いに反映するのでしょう。この間、NHKETV特集のアフリカの現在についての番組のなかで、「日本はアフリカは植民地にしたことがないからこそ、できることがある」という発言がありましたが、元植民地であったからこそ、責任持って果たすことができる責務というものもあるだろうと思います。

このあとはエチオピアを訪問する予定。来年、イギリスで行われるサミットのテーマは「アフリカ」。国内でアンチ・ブレアの声が高まり、またイラクでの人質事件やアメリカのイラク戦争大義問題から所属する労働党からも非難の声が挙がりつつあり(そのなかでブレア首相はイラクからの軍隊の撤退の可能性を示唆したりした)、今後の政権に不安があるブレア首相。

継続の姿を現すアフリカ訪問でどんな成果が残せるかは、英市民、また国際世論にも追っているところが大きいと思います。