アフガニスタンでNGOスタッフがまた拉致された

NGOの米女性ら2人拉致 アフガン南部(U.S.Frontline)
カンダハルで米国人女性を拉致、援助関係者 アフガン(CNN.com)

 アフガニスタン南部カンダハル郊外で、アメリカ人のNGOスタッフ2人が拉致されたことを米国当局が発表した。アフガニスタンでのアメリカ人の拉致は初めて。彼女たちは「アフガンの地方部で食糧支援、かんがい、健康衛生などの事業に参加して」おり、アフガニスタンには数年滞在し活動・生活しているとのこと。フランスのNGO「Terre d’Enfance」や韓国の教会関連団体スタッフの拉致など、これまでにもアフガニスタン拉致事件が起こっているが、現政権とタリバンの対立が未だに続き、不安定な状況にあることがわかる。

 パキスタン及びアフガニスタンで医療支援活動などを行うペシャワール会中村哲医師は、アフガニスタン南部・東部・北部各州で戦闘が激しくなっていることを昨年9月報告している(中村哲「診療の拠点をアフガニスタンに PMS基地病院は11月までに全面移転」より)。そして戦闘が激化する中で一般市民が多く被害を受けている現状の背景を次の6点にまとめている。

  1. 危険な地上戦をANA(アフガン国軍)に主に請け負わせ、欧米軍による攻撃が主として空から安易に行われるため、周囲を巻き込みやすい。
  2. タリバーン勢力と一般パシュトゥン農民と区別がつかず、単に支持者である非戦闘員も「タリバーン兵」と誤認される。
  3. 理由もなく殺害された者の肉親が、政治とは無関係に「報復」に外国軍を攻撃したり、タリバーン勢力を幇助したりで、悪循環を作っている。
  4. タリバーン勢力の主力がパシュトゥン農民そのもので、土着性が強い。必ずしも「イスラム過激派」とは限らない。「国際テロ組織」とは無関係に、「外国人に荒らされた郷土の防衛」という動機が強い。
  5. 首都の華美な風俗と貧困層の状態との余りの格差、外国兵の横暴、強盗、殺人事件が増える中で、旧タリバーン政権による治安の良さを懐かしむ声が強くなっている。
  6. 今年の大凶作

 詳しくは是非上記リンク先にてご覧頂きたい。米国NGOスタッフの無事の帰りを祈っている。

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