メディア・リテラシー〜ダルフール報道を例にして

日本HCR協会のHPで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のルベルス高等弁務官スーダンを訪れたことが報告されています。ルベルス高等弁務官は、ダルフールの難民キャンプの訪問で現状を見聞きし、「故郷を逃れた多数のダルフールの人々に帰還するよう説得するためには暴力をなくすことが肝要だ」と発言した(この数日間でキャンプ近郊で3人のダルフール人が民兵に殺された)。またスーダン政府高官との会談でも政府による暴力を止めるよう促したという。

実はこのルベルス高等弁務官スーダン訪問を、以前スーダンの石油の最大の輸入先であることをこのブログに記したが、その中国のマスコミ「中国国際放送局(China Radio International)」の日本語放送のHP、CRI onlineでは次のように報じている。

「UNTCRの高等弁務官ダルフール衝突問題解決のスーダンの立場を高く評価」

この違いはなんでしょう…というか、それ以前に「UNTCR」って何さ!と思ってしまいますが(笑…これは僕も打ち間違いじゃないです)、報じるところで全然印象が変わってくるというのがよく分かる記事ですね。

前のブログでも分かるように、中国とスーダンの石油を巡る関係というのは、中国の高度経済成長(ちょうどTBSでこの問題をニュース番組の中で報じていますが)もおおいに関係して、石油輸入大国となっているこの国にとって非常に重要になっています。スーダンとの関係を良くしておくことは中国の外交にとって非常に重要なことなのでしょう。

UNHCRのホームページで最初のように報告しているのですから、そちらがベースと考えて問題はないでしょうが、報道するものを読む・見る=メディア・リテラシーというのは非常に重要だな、とこのことを通して改めて考えてしまいます。