環境破壊と戦争
朝日新聞では2日続けてスーダン、ダルフール紛争の情報をウェブに掲載している(たぶん新聞にも掲載されているんだと思います)。
「スーダンの難民165万人 アラブ系民兵の住民襲撃続く」(10月2日記事)
「国内避難民の援助に遅れ スーダン・西ダルフール州」(10月3日記事)
2日の記事にある通り、ようやく朝日新聞(系)の記者が現地に入った模様で、3日にはルポ形式でダルフールの現状を伝えています。国内避難民の数がこの2つの記事の間で異なるのは不思議なところですが、おそらく日本の大手3社の新聞社がこれで現地に入ったことになるのでしょう。ある程度の情報は、少しは報じられることになるでしょう。
ただ、前のブログにも書いた通り、この朝日新聞の記事に見受けられるのは、単純な「アラブ系住民と黒人系住民の間の対立」と言うところにこの紛争を集約してしまっているところは、やはり頂けないという気がします。
ルポにある通り、事実としてアラブ系民兵ジャンジャウィードによる避難民・難民キャンプへの襲撃ということがあるでしょう。しかし、それが起こっている背景(政府によるスーダン西部への関心の薄さなど)への歴史的な配慮が足りないような気がします。ただ紛争のみを見てしまって解決を模索するのは、アフガニスタンやイラクでの戦争でも起こった同じ悲劇を生み出すのではないかな、と思います。
一方。3日の記事で触れられていましたが、避難民・難民キャンプ周辺で起こっている「環境破壊」も深刻です。よく戦争や紛争の爆撃など攻撃によって引き起こされる環境破壊については、触れられますが、ここで書かれているように、多数の避難民・難民の人々が生活のために周囲の木々を切り、燃料として使うために、ただでさえ肥沃ではない土地が荒らされていきます。
もちろん、これは彼らが悪いわけではなく、そうしたことが起こることが必然だということですね。先日記事にも書かれているNGO「緑のサヘル」の高橋さんのお話を聞いたときに、彼が視察時に食糧を配っている世界食糧計画(WFP)など国際機関に、食糧と共に燃料も配っては?という提案をされたと聞きましたが、彼らはただ小麦など食糧を配給されても、それを食べるためにはいろいろと道具がひつようだという事実を忘れがちだと思います。
「緑のサヘル」は、そのために環境復旧事業という形で、国際機関と協力してチャドでの活動を行っているわけですが、そうしたところへの人々の目を向けさせることも非常に大事だと思います。
NGOが関わる活動は様々あります。紛争・戦争が始まったとき、そのことそのものに加えて、それによって引き起こされる様々な社会的問題、人権侵害や環境破壊などにも同じように関心を持ってもらい、またいろんな人たちに関わってもらえるような方法を提示することが大事なのだと思います。