いい加減な大人たち

(財)日本原子力文化振興財団が作成した小冊子『劣化ウラン弾による環境影響−IAEAとUNEPの報告から』のなかで、劣化らウラン、また劣化ウラン弾について誤った記述があったことが報道されています(こちらから冊子のPDFファイルでダウンロードできます…注PDFファイルへ直結ですのでご注意を)。

記事の中で専門家が「低線量の放射線白血病の関係を疫学的に明らかにするのは大変難しい。これまでに疫学的にそれを証明した報告はない」と指摘している通りで、冊子の中に書かれた「母乳への影響」また白血病と日常生活の関係性など、どう考えてみても、この冊子が表そうとしているのは、劣化ウラン弾の問題性をただ否定する目的で出されたものであり、これがこの国の原子力政策に悪影響を与えることを回避しようとするものであったことは明確です。

財団の常務理事は「学術論文のように一言一句、正確性を吟味した文章ではない」と言ってますが、単なる一個人の発言や記述ではなく、国内の電力会社が理事に名前を連ねる『原子力政策推進組織』であるここが、もつ責任というのは大きいはずです。にもかかわらず、現総理大臣や外務大臣を初めとした政治家も含めて、平気でこうした発言をしてしまう「大人」こそ、何よりもまず反省して欲しいものです。