温暖化カギ握るロシアと米国の共通点

先日、地球温暖化を巡る京都議定書に参加することを表明したロシアですが、批准法を可決するにあたって、議定書対象期間(2008〜2012年)は参加するものの、その後は参加するか否かの判断を留保するという付帯条件を付けていることが報道されました。

ロシア下院の外交委員長が「我々は、この期間に京都議定書がロシアの利益のために作用すると理解しているが、そうでないことが分かれば、議定書への参加を無条件に辞退する」と語っていることを見て分かる通り、あくまでもそれは環境問題、地球温暖化を巡る問題以前に、これを受け入れることによって受ける利益によってその判断がなされていることが明らかになっています。

ロシアはソ連崩壊により経済力が落ち、産業が衰退。それによって京都議定書が基準とした1990年当時の二酸化炭素排出量と比べて、今では30%もダウン。逆にその分、排出権取引を行うことによって利益を得ることが可能になっている。その後は、どのように規定されるかが不明な議定書において、ロシアは離脱も視野に入れた国策を採ったということです。ロシアの議定書への参加を、今後の世界的な取り組みの中でどのように維持できるか?ということが課題となるでしょう。

また一方で、ロシアの参加を受けて国際的な世論の的になっているアメリカ。しかし、相変わらず「議定書がアメリカにとって現実的なものではない」と不参加を維持することを改めて明言したそうです。ロシアの議定書参加とそれによりクローズアップされてきたアメリカの動向のカギを握っているのは、やはり来月の大統領選挙なのかもしれません。アメリカの人々がどのような判断を下すか?ですね。

それにしてもロシアとアメリカ。決断の違いはあるものの、基本的に「国家」の枠を飛び越えられない枠組がもたらす現在の世界の問題は基本的に変わりませんね。