債務の猶予か削減・帳消しか?〜スマトラ島沖地震・津波

スマトラ島沖地震津波被災地域への国際社会の支援表明は50億ドルを突破しました。日本円にして5000億円以上です。民間からの支援も、例えばイギリスの募金とりまとめ団体、「災害救援委員会(DEC)」は募金総額が200億円を超えたと発表しました
(DECは英国赤十字オックスファム、ケアなど12団体で構成。記事はこちら)。

支援額が集まってくる一方で、現在話し合いが行われているのが、被災国が持つ「債務(DEBT)」の問題です。債務とは簡単に言えば借金です。ここでいう債務は、国家が他国や国際機関、また民間企業などから借り受けたお金の返済未払いのものを指します。

今度の震災・津波被災国の多くもまた、多額の債務を抱える債務国です。被害の大きかった、インドネシア、インド、スリランカ、タイ、マレーシア、ミャンマーソマリアモルジブの8ヵ国の公的債務を見ると、二国間の債務が680億ドル(約7兆円)以上、国際機関など多国間の債務も約690億ドルに及びます。

先週木曜日、インドネシアで行われた津波被災国への支援に関するG7財務相会合では、世界銀行IMF(国際通貨基金)による復興資金の需要調査終了までの債務支払いの猶予(モラトリアム)が共同声明で発表されました(こちらの財務省ウェブサイト内PDFファイルを参照してください)。

また明後日12日に開催されるパリクラブ(主要債権国会議)の会議では、被災国の公的債務について返済が猶予されることが合意に達したと言います(毎日新聞)。約30億ドル規模が2005年の返済猶予として認められる予定だそうです。これで国際社会から支援金を有効活用することができるようになります。
一方、日本はこれらの国に対して多くの債権を持っています。例えばインドネシアに巨額の債権を持っており、インドネシアの二国間債務額、約290億ドルの内7割近くが日本の債権です。そのため、おそらく日本は債務を猶予することは渋々認めながらも、それを削減することは現段階では考えられません。

なぜなら、日本が持つ債権は、いわゆるODA(政府開発援助)のなかの円借款(有償資金援助)によって行われており、それは財政投融資を資金として行われてきたものです。贈与である無償資金援助が税金で行われているのに対して、こちらは皆さんの郵便貯金や年金、簡易保険を財源としています。つまり「返してもらわなければならない」とされるものです。

しかし、それでもなお日本はこの現状を前に、そして何よりも日本の円借款ODAがどのように行われたか?を考えてみると、またその返済方法について考えてみると、少しでも多く削減していくことが求められると思います。明後日のパリクラブでの議論が最終的にどのように決着がつくかはわかりませんが、大幅な削減や帳消しになることはありえないでしょう。

けれど、被災国のNGO・市民たちはこの債務の大幅な削減、帳消しを求めています。これに関しては改めてまとめたいと思いますが、皆さんはこうしたことを前提として、日本が被災国に対して持つ債権をどのように扱うのが望ましいと思いますか?よろしければお聞かせ下さい。