「債務猶予以上のものを必要としている」〜スマトラ島沖地震・津波関連

今日のパリクラブ(主要債権国会議)の会合を前に、11日にスマトラ島沖地震津波被災地域の復興支援策を協議するために、初めての国連主催の復興支援閣僚級会議がジュネーブで開催されました(6日にジャカルタで開かれた会議は東南アジア諸国連合[ASEAN]主催)。87ヵ国、国際機関、NGOなどが参加しているそうです(毎日新聞)。この会議ではこれまで世界各国から拠出する旨の発表があった55億ドルにプラスして、新たな拠出や増額が見られることでしょう。

一方で、国連がこれから半年の緊急支援として要請を行った10億ドル弱のなかで、この日までに確約された額は約3億ドル。一昨年のイランの震災でも17%しか結局拠出されなかったこれらの支援金をどのように求めていくか?というのはひとつの課題です。また、そうした巨額な支援金を管理し、支援を確実に履行し、またその透明性を確保するために外部監査を国連として行うこともまた表明されました(共同通信)。

さて、20万人に犠牲者が拡大する可能性もあることが明らかになった環インド洋諸国に対する債務問題のひとつの山場が今日のパリクラブ会合です。

債務問題に関して、1990年代後半から活動を積極的に行っているジュビリー・キャンペーン(債務帳消し国際キャンペーン)関連団体は、具体的なアクションを年頭から行っています。そのひとつであるジュビリーUSAネットワークは、今回の被災国で活動を続ける同キャンペーン関連団体ジュビリー・サウスと協力してキャンペーンを行っています。

ジュビリーUSAは、6日のジャカルタでの国際会議を前に、5日付のよびかけのなかで、被災国の債務問題について次のように述べています。

津波被災諸国からのすべての債務支払いの猶予は即座に必要とされています。この猶予は、パリクラブ債務に適用されるだけであるというイギリスとドイツによって提案されたものを越えなければなりません。つまり、それは、IMF世界銀行、およびアジア開発銀行への支払いの停止を含まなければならないのです」

同じページで示されている被災国の債務データを見てみると、二国間債務と多国間債務の額はほぼ同額です。つまり、パリクラブで考慮される二国間債務の猶予(モラトリアム)がなされても、多国間債務はまた同じように残っています。

また昨日のブログにも書きましたが、先進国の猶予に関してはこの多国間債務を持つIMF/世界銀行による調査結果待ちでその判断がなされるということもG7財務相会合のなかで話し合われていたりします。本当に被災国の復興に力を貸すのであれば、この多国間債務もまた少なくとも猶予されるべきであるだろうと思います。

さらに、同じジュビリーUSAの文書では次のように書かれています。

「緊急支援活動と復興に加えて、私たちがすぐに求めているのは無条件の債務帳消しです。諸政府は、債務に関することを最優先させ続け、やっかいで正当性のない債務の支払いをとめるべきです」

文書のなかでインドネシアNGOネットワークであるインドネシア開発国際NGOフォーラム(INFID)の声明の引用をしています。

究極的には「債務猶予以上のものを必要としています。債務猶予は、インドネシアがある期間、債務を返済しなくてもすむが、将来において債権者に対する義務を果たさなければならないでしょう。したがって、返済猶予は単に. 次世代の債務負担であるわけです。」

つまり、本当に支援をするのであれば、この債務の帳消しを求める必要があります。これに関して後ろ向きなのは、アメリカと日本といいます。イラクの債務は全額帳消しに唯一したアメリカに追従するように、日本もこれに難色を示しています。それはインドネシアに多額の債権を持っているからです。そして、それは昨日のブログにあるように、その債権の財源が私たちの年金や郵便貯金などに由来していることも大いに関係しています。

さて、ここからは日本人としての私たちのこれに対する判断です。どのような方策が取れるか?について、少し考えてみませんか?

追伸:
(1) ジュビリーUSAネットワークの上記文書の拙訳をアップしています。こちらをクリックするとダウンロードが始まります。ワードファイルで50Kほどです。
(2) また同じくジュビリーUSAネットワークが、アメリカ政府に対してリーダーシップを求めこの債務問題に取り組むように全米のNGOとの連名で提出した申入書(原文はこちら)の拙訳もまたアップしています。こちらをクリックするとダウンロードが始まります。こちらもワードファイルで40Kほどです。
……どちらも是非ご覧下さい。