本当に意味のある国際協力とは何か?

「本当に意味のある国際協力とは?」−著作『世界で一番いのちの短い国―シエラレオネの国境なき医師団』や『彼女の夢みたアフガニスタン』(マガジンハウス)などで知られる、NPO法人宇宙船地球号事務局長、山本敏晴さんが追い続けているテーマです。そして、おそらく多くの国際協力やNGO活動に関わっている方が考え続けているテーマだと思います。僕も含めて。

世界で一番いのちの短い国―シエラレオネの国境なき医師団

世界で一番いのちの短い国―シエラレオネの国境なき医師団

昨日は、鹿児島で開催された「地球市民フォーラム」(地球市民教育ネットワーク鹿児島:主催)に行きました。同フォーラムは年に1度、鹿児島県内で活動している国際協力・交流NGOが協力して開催されています。15団体ほどがブースを出展し、またフォーラム資料では26団体程度が紹介されています。僕は、NGO福岡ネットワーク(FUNN)として参加しました。

同フォーラムの講演でお話されたのが山本さんでした。お名前は聴いたことはありますが、お話を聞くのは初めてでした。ご自身が医師として国際協力活動に関わったシエラレオネでの経験を中心に、アフガニスタンを始め70ヵ国近く足を運んだ世界から、日本にすむ人たちへの提言…という内容でした。同じく山本さんの著書『シエラレオネ―5歳まで生きられない子どもたち』や上記の著作にも見られるように、彼の撮影した写真をふんだんに使ったものでした。

シエラレオネ―5歳まで生きられない子どもたち

シエラレオネ―5歳まで生きられない子どもたち

「本当に意味のある国際協力」というのが何を意味するか?−山本さんの核心は「愛情の反対は憎悪ではない。無関心だ」という言葉の紹介に見られるように、世界中、日本中の多くの人たちが、地球上で起こっている問題に背を向けることなく目を向け、自分が関われることをやっていくことなんだと思います。彼が力を込めて発言していたように「知る」だけではなく、「動く」ことが重要であると。そして、「海外に行く、勉強する、金を出す」などということに加えて、子どもたちに世界の現在を伝えるということを重視しています。

ただひとつ、僕は彼の視点に足りないことを思います。それはいわゆる「政策提言/アドボカシー活動」という側面です。これは現在以上に政策に関わる人を増やすということだと考えています。国際社会でも、国家でも、地方自治体でもどこでも何でも良いから、そこへのアクセスの道を自分なりに探し、言葉を紡ぎ出す、身体を動かすことが大切だと思います。僕が彼の話で物足りないなぁと思ったのは、悲惨さを特に強調し、シニカルな笑いを混ぜる彼の話に、自分自身から外への広がりを感じなかった、そこの部分かもしれません。

さて、フォーラムは講演の終了後、FUNNも含めたいくつかの団体紹介のあと、「地球市民フォーラム」の方を司会に、参加団体で作られた「あなたのできることを探すフローチャート!」を元に、会場の人たちと「できること」を考え、そのあとお茶を飲みながら、情報交換をする時間がとられました。僕も鹿児島の人たちといろいろと話しながら、主にNGOが繋がることについていろいろと意見交換をすることができました。

鹿児島の多くの人との意見交換ができたことは先月の佐賀に続いて、とても良い経験でした。読んで頂いて、ありがとうございました。そして、鹿児島の皆さん、これからもどうぞよろしくお願いします!

おまけ。行きでは初鹿児島のために地理に疎く、九州新幹線「つばめ」鹿児島中央駅で降りたあとにそのまま鹿児島駅まで行ってしまったのですが、どうも市電で鹿児島中央駅から会場まで普通に行けることを知って、ちょっと悔しかったり。だって、鹿児島駅前のあまりの閑散さに驚いて、「大丈夫か!鹿児島!」と思ったもので。鹿児島中央駅前は観覧車が屋上でグルグル回るでかいビルに囲まれた立派な駅でした。やっぱりねぇ……(苦笑)。公共事業が…とはいいつつ、つばめはやっぱり快適でした……うむう。