スマトラ島沖大地震・津波寄付額の比較に見る

昨年末に起こったスマトラ島沖大地震津波については、このブログでもいろいろと紹介していますが、被災地に対する寄付について興味深いデータがあります(国際協力NGOセンター(JANIC)が集計したデータ)。それは、NGOの寄付を受ける額が、国際機関であるユニセフを支援する日本ユニセフ協会や、特殊法人たる日本赤十字社と比べて段違いに少ないことを示しています。

日本ユニセフ協会の4分の1、日本赤十字社と比べると10分の1以下です。また同じ資料にはNGO30団体の寄付額の一覧表が掲載されていますが、1000万円を超えたのは僅か10団体に過ぎず、最も多いのは3100万円。一方で、100万円以下のNGOも3団体あります。資料では、具体的にどの団体が受け取ったのか?ということは明確ではありませんが、おそらく10日付けの募金・寄付先一覧であげたNGOのほとんどがこの30団体の中に入っていることでしょう。

もちろん、これが指し示しているのは単に「NGOへの関心が少ない国、日本」というだけではないでしょう。それはある種のNGOの「おごり」かもしれません。またアピール力という点でもNGOが上手くいかなかった部分も多いのはその通りだと思います。しかし、それでもやはり日本ユニセフ協会日本赤十字社に対する寄付の集中というのは、健全な支援策が行われるとも思えないのが事実です。

聞いた話ですが、公立学校や公民館単位で募金が行われた場合、その寄付先としてNGOに行くのは稀で、「募金先は日本赤十字社」というものが多いそうです。また実際にNGOに寄付をすると口にすると、反対に遭うということも聴きました。

NGOのなかにも差異はあると思いますが、寄付金の使い道として一番現地の人に渡るお金が多いのがNGOであるというのも一つの事実です。人件費などで消えていくのは国際機関だったりします(<例>日本赤十字社が行った「インド地震救援・復興支援事業救援金」の受け入れ状況と使途についての報告。ページ下にリンクあり)。とある国際機関では3割ほどが現地に届けられるのみだとも言います。

確かに現地の人にどれだけ有益な援助・支援が行われるか?というところを重視すべきで、NGOよりも他の国際機関や特殊法人に対して行う方が有益であるという判断がなされているとすれば、それは仕方ありません。

しかし、重ねて書きますが、NGO自身がもっと積極的にアピールし、社会のなかで寄付・募金先として認められるような位置づけを作り上げていき、アカウンタビリティをより果たしていくこと、そしてファンデーションにおいて力をつけていくことが重要であることは紛れもない事実です。

しかし、「鶏が先か、卵が先か」の議論のようになりますが、そうしたNGOを作り上げていこう、政府や地方自治体だけではない、別の市民社会を支援する仕組みを応援する人たちの声があって初めて生まれることも頭に置いておきたいと思うのです。