スターバックスはエチオピアの農民たちに公平な分け前を!

日本でも10周年を迎えたコーヒーチェーン店「スターバックス」は、ホームページにもある「Coffee CSR」のような形での社会的貢献を唱い、コーヒーを巡るさまざまな問題に花冠に取り組み社会的責任を果たしているとしています。しかし、今スタバは商標登録を巡って英国NGOを中心に話題になっています。

英国の巨大NGOオックスファム(Oxfam)UK」などを中心に、公平公正な貿易を求めるキャンペーン「Make Trade Fair(公平な貿易をしよう!)」では、FAXによるアクションをはじめています。

ここで問題にされているのは、エチオピアが商標登録をしようとしたコーヒー豆に対して、スターバックス側が圧力をかけて登録させないようにしているというもので、オックスファムによれば、これによって年間約8800万ドル、日本円で100億円近くもの収入の機会を失わさせているということです。

隣国、中国でスタバは今後1年間で100店舗増やすだとか(FujiSankei Business)、本国米国での増舗(US Frontline)、日本でも10周年記念限定グッズ販売なんていう景気のよい話が聞こえますが、その一方で、「既存店舗の強化や、今後想定される経済環境の変化に伴う原材料・原価や人件費の高騰等を勘案した結果」、20〜40円の値上げを唱っています。

報道としては、CNNが「米スタバ、エチオピア産コーヒー豆名の登録商標申請を妨害か」として報道していますが、アクションが行われている英国のガーディアン紙の記事を如何に紹介します。変な、統一されていない訳ですが、全体像は読みとれるかと思いますので、掲載します。お読み下さい。

スターバックス、コーヒー豆とその商標権でエチオピアに4700万ドルを課す
Starbucks, the coffee beans and the copyright row that cost Ethiopia £47m(記事リンク)
Ashley Seager
2006年10月26日木曜日
ガーディアン紙


 米コーヒーチェーン、スターバックスが、エチオピアの農民のもっとも有名なコーヒー豆の知的所有権を得ようとする試みを力で拒み、年間4700万ドルの潜在的な収入を打ち消したとオックスファムは語った。

 オックスファム曰く、昨年エチオピア政府はもっとも有名なコーヒーブランドである、Sidamo、Harar、Yirgacheffeの商標登録するために申請をした。これらの名前に対する権利を守ることは、貧しいアフリカ諸国が市場においてそれらの使用をコントロールし、農民たちが小売価格のより大きな分け前を得ることを可能にする。

 その手段は、コーヒーによる収入を年間輸出で25%増加させるとされる。

 しかし、オックスファム曰く、10月までに年間で世界総売上高で22%アップの78億ドルも享受しているスターバックスが、米国特許商標庁(USPTO)にエチオピアの申請を却下するよう動いたのである。USPTOは、SidamoとHararのエチオピアの申請を却下し、そのプロジェクトにとって深刻な障害を生みだした。

 オックスファムは、スターバックスと2004年に1年間の協力協定を持っていた。それは、エチオピア国内の貧困を削減するための大きな試みの一部としてコーヒー農家への支援を両者が提供するというものであった。しかし、オックスファムは今やシアトルをベースとしたこの会社の態度は問題であると感じている。

 オックスファムの政策局長のPhil Bloomerは次のように言っている。「スターバックスは、近年貧しい農民たちを支援する方針をとっていた。しかし、今回の彼らの行為は大きな後退であり、彼らの顧客の満足感に対するコミットメントの深さに関して重大な問題をもたらした。責任を持って行動することで、スターバックスは、自らの生き残りをコーヒーに依存する1500万人の生活苦と戦うエチオピアの農民たちを助けるというエチオピアの計画を支援することによって他の者たちに例示することが出来たのに。」

 在米エチオピア大使館のFitsum Hailuは次のように付け加えた。「生活苦と戦うエチオピアの農民たちは、国際市場における我々のコーヒーを制御する価値のより大きな部分を実現することが出来るに違いない。このプロジェクトは、革新的であり、そして国際貿易の領域において我々の国農民たちがエンパワーされるユニークな機会であった。」

 年間売り上げがエチオピア国内総生産全体の3/4と同等であるスターバックスは声明で、「エチオピア政府の商標申請に反対する提案では決してなかった」と語っている。

 しかしながら、ワシントンを拠点にしてエチオピア政府に助言する知的所有権団体Light Years IPの代表のRon Laytonは、「2004年に、スターバックスはUSPTOに『Sidamo』という言葉で商標申請を行った」と言っている。USPTOはその時、1年後のエチオピアの申請が既にスターバックスが申請している言葉であるために拒否する判断を下したのだ。

 スターバックスの申請が今年6月に失われた時、スターバックスが中心メンバーを務める米国コーヒー協会(NCA)は、エチオピアの申請に異議を唱えた。NCA代表は、エチオピアとLayton氏に、スターバックスが彼らの妨害を試みたことを認めている。

 「知的所有権は今世界貿易全体の大きな割合を占めており、しかもそのほとんどを豊かな国々とその経済が占めている。コーヒー誕生の国であり、また世界でももっとも貧しい国のひとつであるエチオピアは、自らの権利を主張し、コーヒー生産から多くの価値を得ようとしています。それは支援されるべきであり、邪魔をすべきではない」とLayton氏は語る。

 しかしながら、スターバックスが示唆するのは、27ヵ国以上で生産者に対して高価格を支払うことを約束し、過去4年間で400%以上もエチオピアのコーヒーの購入額は上昇したと言うことだ。昨年1ポンドあたり平均1.23ドルという、市場平均価格より23%以上高い価格を支払ったというのである。

 しかしながら、エチオピアのOromiaコーヒー農民協同組合代表のTadesse Meskelaさんは納得していない。「コーヒーショップでは、豆の特別なものであるがために、1ポンドあたり£14でSidamoやHararコーヒーを売ることができる。しかし、エチオピアのコーヒー農家は自分たちの作物から30〜59ペンスほど稼げるだけだ。これはかろうじて生産コストを満たすに過ぎないのだ。」

 「わたしたちは1ポンドあたり£1未満で有機コーヒーを売る。しかしコーヒーショップでは52種類の目玉商品をそれぞれ£2で打っている。つまり小売業者は£104でそれを売っているのだ。エチオピアではコーヒーを生産する人々は十分は食べ物や清潔な水、また健康センターを得ることができていない。」

 「農民たちはチェーン店で巨額の利益を生み出している間、損し続けている。それは大いに不公平だ。」

 エチオピアは、アメリカで商標申請を出し続けている。さらに、スターバックや他の会社等に、既に商標で出されたかどうかにかかわらず、エチオピアのコーヒー名の所有権を直ちに認める、自発的なライセンス協定にサインするよう依頼している。

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