クラスター爆弾を廃絶へ〜不発弾の恐怖

日本でも、故一ノ瀬泰造さんの書籍『地雷を踏んだらサヨウナラ (講談社文庫)』やこれが浅野忠信主演で映画化された『地雷を踏んだらサヨウナラ [DVD]』、また1997年の地雷廃絶国際キャンペーンノーベル平和賞受賞を通して、地雷の問題が知られ、また多くのNGOや市民、そして日本政府もODAなどでこの問題への取り組みが活発に行われていますが、地雷と同じく不発弾の問題として、クラスター爆弾が問題になっています。

地雷を踏んだらサヨウナラ (講談社文庫)

地雷を踏んだらサヨウナラ (講談社文庫)

30年間に1万人余死傷 不発子爆弾、世界に3千万個
 クラスター(集束)爆弾やその不発子爆弾によって過去約30年間に少なくとも1万1000人余が死傷した−−地雷や不発弾問題に取り組む国際NGO(非政府組織)、ハンディキャップ・インターナショナル(HI、本部・ブリュッセル)が2日、世界のクラスター爆弾被害に関する調査報告書を発表した*1。被害者の98%は市民で、今も世界に約3300万個の不発子爆弾が処理されずにころがっているという。HIは、対人地雷のようにクラスター爆弾の製造・使用を禁止する条約づくりを目指してキャンペーンを始める。
 報告書によると、クラスター爆弾ベトナム戦争ごろから使われるようになり、ラオスベトナムカンボジアインドシナ諸国、アフガニスタンボスニア・ヘルツェゴビナコソボイラクなど23カ国・地域で大量に使用された。今年はイスラエルレバノン紛争でイスラエル軍が使用して問題になっている。
 これらの国・地域でHIが政府の資料などを調べたところ、クラスター爆弾が原因と確認できた被害者数だけで死者3830人、負傷者5581人にのぼった。被害に遭ったが生死が不明な人も1633人いて、死傷者は計1万1044人という。大半の国は被害状況のデータが整っておらず、HIは「実際の死傷者数は10万人に達すると推定される」としている。(以下略)

これまでに子爆弾の数で約3億6000万個のクラスター爆弾が世界中で使われこうした被害を生みだしているのですが、「特定通常兵器使用禁止制限条約の爆発性戦争残存物(ERW)に関する議定書(03年採択)で不発弾処理を促す枠組みはできたものの、使用の禁止や制限に関する国際合意はない」ために、最近でもレバノン紛争でイスラエルヒズボラ双方がこれを使ったのではないか?とされ、実際に被害が出ています(朝日新聞記事)。

クラスター爆弾の歴史は古く、ベトナム戦争時にも使われていてその形状から「ボール爆弾」とも呼ばれていました。隣国ラオスでも戦争後の被害が多発し、地元では未処理のクラスター爆弾を「ボンビーズ」と呼びその恐怖に怯え、また世界はこのことをしばらく経ってから知るようになったようです。ニュージーランド地雷廃絶キャンペーンは、「不発弾が肥沃な土地を奪い、飢餓と絶望をもたらしたのだ」として900万個も残されたクラスター爆弾の不発弾をとりあげ、90年代後半のNATOクラスター爆弾の配備問題について「爆弾が99.95%の確率で、地面に当たると同時かそれより前に爆発することを製造者が保証しない限り」取りやめを強くもとめると声明を発表しています(こちらのサイトより)。

日本の政治家の核配備問題がマスコミをにぎわせているが、もっと日本ができることがあります。これまでいろいろ問題はありつつも、地雷問題と向き合って来たのもこの国の援助のひとつの形でした。同じく地雷化するクラスター爆弾の問題についても同様に取り組んでいくことが出来るのではないか?と思うのです。

*1:レポートはこちらのHI-UKからダウンロードできます。