世界トイレデーに考える170万人の命

今日、皆さんは何回トイレに行きましたか?…なんて聞いてみたのは、今週末、19日の日曜日は「世界トイレデー(World Toilet Day)」だからなんです。2001年から毎年11月19日がこの日に決められて、いろいろなイベントも開かれているようです。とは言っても、この日は、「もうひとつのWTO」こと、シンガポールに本部があるNPO世界トイレ機構(World Toilet Organization)が第1回目の「世界トイレサミット」なるものを開催したからだそうで、日本には「日本トイレ協会(Japan Toilet Association)」なるものがあるのですが、ここが定めた「トイレの日」というのは、「いい(11)といれ(10)」ということで、つい先日の11月15日だそうです。どちらにしろ、ちょうど今頃が「トイレの日」周辺で(笑)、タイのバンコクでは「もうひとつのWTO」が世界トイレエキスポ&フォーラムを今週末開催するようです。とはいえ、どうもこのNPOは業界団体のような感じですねぇ。「世界水フォーラム」と同じような感じです。ふむ。


それはともかくトイレ。日本のように下水がかなり整備され、水洗トイレが普及している国では、1度トイレに行き、水を流すと、「大」の場合は8〜20リットルの水が使われます。何度行ったか?をそれぞれ考えてみてもらえれば、皆さんが今日1日で使ったトイレでの大体の水の量がわかりますよね?さて、どのくらいの量だったでしょうか。また、どんな感じだったでしょうか*1。ちなみに、世界では1日にすべて合わせても20リットル以下の水しか使えない国が20ヵ国ほどあります。(少し意地悪ですね。すみません。)


「もうひとつのWTO」のホームページには「あなたは知っていますか?」と題されたページに次のような記述があります。

*平均的な人は、1年につき2500回トイレに行きます。1日につきおよそ6-8回です。あなたは、トイレで人生のおよそ3年を過ごしています!
*劣悪なトイレ環境は世界的な問題です。世界人口の半分以上が適当な公衆衛生を持っていません。
*汚いトイレのために排尿の抑制すると腎臓や膀胱の病気につながります。公共のトイレを使わないようにするために、飲むことを控えて、脱水で苦しみます。
*多くのトイレは、誤って設計されています。
*女性は男性の3倍の時間をトイレでで必要とします。にもかかわらず両方のトイレが同じような設計をされているのです。
*トイレは、題材として議論することを躊躇う「タブー」として残っています。
*世界中でトイレ教育・文化を促進しているトイレ協会があります。
*トイレには多用な形のものがあります。

皆さんが毎日利用するトイレに人生で3年くらい費やしているというのは驚きますね。


このブログではやはり2番目にあるように世界では半分以上の人々が十分な公衆衛生を持っていないというのは気になります。国際的に活動するNGOである「ウォーター・エイド(Water Aid)」は、この世界トイレデーに合わせて、ホームページで「もうひとつのWTO」と同じように、「あなたは知ってますか?」として、次のような例を挙げています。

*26億人の人々は、安全で、私的で、また衛生的に行くことができるトイレがありません。
*1グラムの糞便は、1000万のウィルス、100万のバクテリア、1000の寄生動物胞および100個の寄生動物卵を含んでいます。
*トイレへ行った後に石鹸と水で手を洗うという単純な行為は、下痢の疾病を40%以上減らすことができます。
*子どもの糞便の安全な処理は、幼年期下痢のほぼ40%の縮小に結びつきます。

水の世界地図』によると、「開発途上国の病気の80%は水に関連している」といいます。実際、糞尿のみ処理も含む汚水により170万人以上が亡くなり、その9割が子どもなのです。アメーバ赤痢コレラ、腸チフスなど、日本であれば、ほとんど心配しなくてよい人たちが、適切な衛生設備がないために世界では命を落としているのです。


先のエントリーでミレニアム開発目標(MDGs)について触れましたが、やはりこの中で水や公衆衛生についても取り上げられています。「ターゲット10:2015年までに、安全な飲料水及び衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を半減する」というのが、それです。


今週末の世界トイレデーに、そうした世界のできごとに思いを寄せ、また何ができるか?ということを考えたいですね。

水の世界地図

水の世界地図

*1:ちなみに上右上の画像は下記で紹介するNGOがトイレデーに合わせて作成したポスターで、色の付いた楕円はその日のトイレ(尿)の色で、健康状態を判断しよう!というものです。クリックすると大きく表示されます。