"貧困"をどう捉えるか?

NGO……というより、国際協力やNGO活動に関わりたいと思う人たちの多くは、支援する対象が「貧しい生活を送っているから」という理由である場合が多いように思います。現実に関わってみて、そうした思いが変わるということはよくあることで、実際に関わらないと分かりづらい概念であるようにも思います。

そうであっても"貧困"をある程度把握することは可能です。一番分かりやすいのは、数字で表される"貧困"でしょう。もちろん、それは単に国家・政府、また国際機関が出す「計算された」数字、例えばGNPなどが典型的ですが、もう少し違う数字で見てみるのも大切だろうと思います。

例えば、自国の"貧困"の状況を、フィリピンのNGOソーシャル・ウェザー・ステーション(SWS)」が発表しました。それによると、15.1%の世帯が食糧確保が難しい状況に陥っているといいます(調査対象はフィリピン主要都市の1200世帯)。それは「過去3ヶ月で1日以上食べ物がない日がある」という状況です。また11.8%は複数日以上、3.3%は常にないといいます(詳しくはこちらのメディアリリースの中にグラフなどがあります。また日本語の元記時はこちらです)。

また3ヶ月までの同じ調査では1万5千ペソ(約3万円)の稼ぎが1ヶ月にあれば貧しくないと考えられていたのに対して、現在では1万ペソ(約2万円)になっているといいます。つまり、フィリピン人が考える「貧困」ラインが下がってきているということです。反面、石油価格上昇により生活費・食料費などが余分にかかるという状況も生まれているといいます。

一般的に、1日あたり1ドル以下で生活する状況にある人たちを最貧困層、2ドル以下を貧困層といいます。前者が15億人、後者はそれを含めて30億人いるといわれます(2ドルで月に7000円ほどです)。つまり世界の半分の人々は"貧困"状況にあるといいます。しかし、一概に2ドルと設定すると、日本では生活していけませんし、フィリピンでも2万円は最低限必要とされているという認識です。

「貧困である」という状態は非常に判断が難しい状況でしょう。国際協力に携わるNGOの活動は、現地に入り、現地に最も適切な方法で他者として関わり、一緒に生きていくということです。そしてそれは多種多様であることを改めて認識します。今後"貧困"はより重要な国際協力・国際援助を考える上でのキーワードになります。改めて、ひとりひとりそれをどのように捉えるか?ということを考えていく必要があるのでしょうね。