「反政府勢力」という言葉の欺罔

治安・人道面で対立する政府と反政府グループが合意に達したスーダンダルフール問題。さらに包括的な和平に繋げるために国際世論・国際社会のダルフールへの関心が強まる必要があります。そんななか、来週後半に、ケニアの首都ナイロビで国連安全保障理事会の特別会合が開催されます。そのなかで、アメリカと英国は共同提案で新しい決議案を提出するそうです。

その決議案は、スーダンが20年近く前から抱える、南部の反政府勢力「スーダン人民解放軍(SPLA)」との間に結ばれた包括的和平合意へ向けた話し合いを支持し、今年末までの合意成立を進める一方、その和平がダルフールにおける危機的状況を解決に繋がることを宣言した上で、ダルフールでのすべての暴力的行為や攻撃の停止を求めるという形のもの。またダルフールでの民兵組織であるジャンジャウィード武装解除と訴追の履行を求め、国連主導の国際人道法に関する調査委員会の設置を目指していくということです。

現在行われている、アフリカ連合(AU)主導の和平交渉の進展具合との関わり合いも合わせて、こうした国連決議も意味を持ってくるのだろうと思います。

ちなみにこのブログでは実は、スーダン政府に異議を申し立てて武力も含めた行動を起こしているグループを「反政府勢力」とか「反政府グループ」などというさまざまな書き方をして、統一していません。参照した記事などを元に書いていることが多いので、その表記によってさまざまです。しかし、「反政府」という書き方をすることで、彼らに対して一定程度以上の「偏見」をもたらす可能性をどうしてもぬぐいきれず、いつも書き方に困ります。

ダルフールで起こっていることも、武力に任せた行動を起こしてしまうグループの行動を人道的意味合いから非難することは容易ですし、またそうする必要もあるでしょう。しかし、一方で、「政府」という正統性を持つ名前を借りた武力行為に対する非難も同程度必要とされます。しかし、一見、それは「反政府」の方が悪者…という見方をとることになりかねません。

現在、ファルージャで起こっていることなどを考えてみると、アメリカ主導の多国籍軍が起こしていることは、確かにザルカウィ率いる武装勢力を初めとする治安を乱す集団の行為と合わせて考えてみることですが、そこにいる市民の立場を改めて十分に考えることが大事なのだと改めて思います。