ブラックボックス化したファルージャ

イラクファルージャで何が起きているのか?それを知る術というのはもはやほとんどない…ここ数日それを強く感じます。ついさっきウェブ上に流れた情報では、イラク暫定政府によって、武装勢力約1000人が殺害され、約200人が拘束されたことで、制圧作戦はほぼ終了したという記者会見が行われたと言います。

しかし、現実的にファルージャで、この第2次大量殺戮ともいわれる今回の米軍の行動において、何が起こっているのか、ということを知ることはほとんどないのだと改めて思います。ファルージャから、武装勢力に関係のない人間は街を離れるように…という達しを出したとしても、そこには必然的に取り残された人たちは出てくるし、その街をどうしても離れられない人たちもまた存在するでしょう。これはただ想像するだけではなく、例えば上記記事にもあるように、赤新月社赤十字のこと)のスポークスマンが「餓死する住民が出ている」という声明を出しています。

先日のブログ(もしくはこちらに紹介したように、10万人以上の住民がイラクでの「戦争」によって犠牲になっています。しかもこの数字には第1次ファルージャ攻撃時の被害者や今回の被害者は入っていません。それを入れると、この数字はまたグンと増えていくでしょう。

武装勢力」を制圧することがイラクの安定に繋がる…アメリカをはじめ、おそらくその行動を西側諸国の中でも異例の早さで、思考停止の元で判断した日本などはいいます。しかし、バクダッドで上の声明が出されたまさにその日にテロが起こっています。何も物事は解決することもなく、泥沼化しているのは目に見えます。

イラクから、NGO関係者も次々と出ていきます。メディアも軍に従軍するイエスマンを除いては入ることができません。安易にはいると何が起こるかは、先日の香田さんの事件を見ても分かることですし、そうした行動を取った人に対する、批判の無意味かつ、これまた思考停止の応酬です。つまり、僕たちは「何が起こっているのか?」ということを知ることすらできません。

歴史が判断する…そう見ることもできるでしょう。しかし、その背後には多くの犠牲者がいます。NGO反戦・平和アクションをする人たちはまさにそういう人たちと繋がらなければならないし、何が起こっているのかということを伝えなければいけない、知る必要がある。しかし、現状はそれができないという不条理を苦々しく思うのです。