2つの対称的な結果〜「和平と引き替えの復興支援」という方法

昨日も書きましたが、昨日・今日とケニアのナイロビで行われている国連安保理特別会合で2つの対称的な形で、スーダンを巡る問題が話し合われました。

南部での内戦に関しては、決議1574(まだ出ていませんが、ここで見ることができるはずです)が、スーダン政府と南部の抵抗勢力スーダン人民解放軍(SPLA)」との間で包括的和平の年内調印を求めて採択されました。そしてこれに先立って、両勢力は和平合意を確約する覚書に署名したとのこと。21年間続く内戦にようやく光明が見え始めました。

この和平への道が作られる背景には、この決議がスーダンにおいて持つ意味合いにあります。決議の中で、和平が調印されたあと、財政支援がなされることなどを約束しました。現在も続く、アメリカの経済制裁が解除されることももちろん含みます。また平和維持部隊を派遣することも盛り込まれ、政治・経済の両面からスーダン政府を後押しする決議となっているとのこと。

南部での内戦の原因は、スーダン政府のイスラム法に基づく統治を始めたことでした。1956年の独立時から、すでに自治を求めて内戦状態が続いていたなか、1972年に結ばれた協定で休戦状態にあったにもかかわらず…の21年間の内戦でした。それが解決へと一歩足を踏み出したことは喜ばしいことです。

一方で、ダルフールでの内戦に関しては「停戦合意を遵守しているかを監視して適切な行動を取る」として、人権監視団を追加派遣するということぐらいで、それ以上踏み込んだ決議とはならなかったようで、現在起こっている問題、とりわけ治安維持の問題などを解決する道筋すら見えていないという状況です。

7月、9月の決議と同様に、今回も制裁措置を決議に入れることに反対がありました。スーダンの石油利権に絡む中国の反対が大きかったと言います。その一方で、「経済制裁」という方法で武装解除→和平を強要するやり方には限界があるという見方も強く、人権侵害を行ったものへの厳格な対応以上に決議に盛り込むことはできなかったようです。

南部での「和平との引き替えの復興支援」(毎日新聞)という形で和平を迫った国際社会のメッセージは、ダルフールにも届くのか?まだまだ混迷が続きそうです。