あいのり"ラブワゴン"に揺られるアフリカ〜貧困を巡って

このページもちょっとはポップな話題をというわけで、フジテレビの「あいのり
」(笑…なんだそれ!)。最近はよくこの番組を見ます。さすがテレビ番組だけあって、キャラの選定・組み合わせが良くできてますよね。

世界中を"ラブワゴン"に男女数人が「あいのり」して乗って渡り行く中で育まれる恋愛がこの番組のテーマ……ということは皆さんご存じの通り。韓国でスタートしたこの旅はアジアを経由しインドからトルコを通って欧州入り。その後、南米へ渡ってオセアニアを回って北米へ(なぜこのルートなんだろう?)。再びアジアに戻って今年の頭にスリランカからマダガスカルを経由して、アフリカ大陸の南アフリカへ到着。ボツワナナミビア→マラウィ→タンザニアケニアと渡ってきて、現在はエチオピアの回を放映している。

上でさもこれまでずっと見てますよ!的な書き方をしてますが、実際に流れが分かる範囲で見ているのはアフリカ大陸にラブワゴンが乗ってから。なんだかアフリカが気になるのは、ここのブログでスーダンのことを書いているからと言うのもあるかもしれません。(ちなみに今やっているエチオピアの西隣、ケニアの北西隣にスーダンがあります。ラブワゴンは今まさにスーダンの隣国にいるのですね。)

アフリカの回に入って、「アフリカの貧困」というものに焦点が当てられることが多くなりました。とりわけ医療・教育関係にずっと焦点が当てられてきました。テレビで、しかもバラエティ番組の中でこれだけ社会問題を取り上げていくということは非常に大切だと思っています。しかし、反面、番組が行っている「あいのり募金」などが援助すること、それはとても大事だしいいことだと思うのですが、「モノ(金)を与えるだけでいいの?」と見ながらずっと思っていたのも事実です。(この募金については、ちょっと気になるので回を改めて書きますね。)

そして今日の回。今日はエチオピアの孤児院に訪れたメンバーはその「貧しさ」を知り言葉を失うわけです。「あ〜、いつもと一緒かぁ。ここに募金を送るんでしょ?」と思っていたら、今回はちょっと違いました。孤児院の校長アベベック・ゴベナさんがクチにしたのは、単に「貧しい」というだけではなく、「飢餓はなぜ起こるのか?」という非常に根本的な問題でした。

「2003年イラク戦争犠牲になったアメリカ兵1,217人」「犠牲になったイラク民間人16,673人」というテロップに続けて出てきた数字が「1年間に飢餓が原因で死亡する人15,000,000人」というものでした。戦争という言葉が目立つ分、逆に例年のことで忘れがちな飢餓で死亡する人の数字。

僕は債務(ODAによって借金となったお金)問題に取り組むNGOに関わっていますが、これで言えば、1分間に13人の子どもの命が奪われていると言われます。これを年間に直すと673,920人です。こうした数字にはなぜか敏感ではないのがこの国のひとつの事実だと思います。

そしてそれらの背景にあるのは単にその国の政治・経済・社会的状況だけではなく、「構造的な問題」があるということが、この国のマスメディアや教育現場で大きく語られていないとどうしても思ってしまいます。メディアが見せる「貧困問題」が切り込む程度が極度に少ない。以前、イギリスで生活していたとき、普段の番組の中でこの「構造的な問題」にまで切り込む番組がそれなりにあったことを思い出してみると、悲しくなります。そしてそれが、現代のこの国の社会の貴重になっているのでしょう(単に『愛国心』というだけじゃどうにもならないわけです)。

さて、「あいのり」。孤児院のゴベナさんは『飢餓を作った張本人は貴方達日本人を含めた先進国の人間なのだ」とメンバーに向かってはっきりと言いきりました。そして70年代の『緑の革命』へと話は続きます。番組の中ではイラストを用いながらこの状況を説明しています(見ていない方は、詳しい説明は「あいのり」HPのこちらの今回の回のストーリーを読んで下さいね)。

最後に日本が輸入している穀物について番組では取り上げます。世界の穀物の10%を輸入している日本では2/3が家畜用の資料になっている現状。そして、霜降り和牛1キロを作るために8キロの穀物を食べさせている現状。これは確かになかなか知られていない現実かもしれません。僕は水問題に関心があるのでその観点から付け加えれば、日本は穀物を輸入する形で、世界中の水を輸入していることにもなります(『仮想水』と言います)。つまり、穀物、ここでは小麦で計算することにしますが、小麦を1キロ作るのに2キロの水が必要になります。つまり、穀物8キロということは小麦で換算すると16キロの水を輸入していることにもなります。和牛1キロを作るために16キロの、水が貴重なアフリカから輸入しているようなモノです。(もちろん乱暴な議論ですが、分かりやすく言えば。)

これを受けて、メンバーがどのような話をするか?ということに一番興味があったのですが(これも上のリンクから見れますので読んで下さい)、じゅん平の「自分たちにできることをやることが大切」という予想通りの答えに続いて、新しい参加者のソルトの「綺麗事が嫌い。簡単には自分も変わらない」というこれまた予想通りの答え。分かりやすいけど、日本人の多くはどうしても個々で止まってしまうと思う。

昨今の流行の田舎暮らしやスローフードもそうだけれど、それと同時にやっぱり国際機関や政府、地方自治体、企業などに「文句を言う」ということも考えなきゃいけないとどうしても思う。できる、できない以上に発想としてそういうモノがすぐに出てこないというのはもったいない。あとソルトの「綺麗事が嫌い」なんていう発想も他に代替案がないのにみんながクチにする一番聞いててむかつく言葉だな、とか思ったりします。「じゃあ、何するのさ!」ということで、いつの間にかじゅん平のような人間が悪人…というか格好悪くなってしまうのはやっぱりおかしい。

バラエティでこんなことを色々言うな!ってのもあると思うけど、メディアは常にどう受け取られるか?ということを考えて動いているはずだし、何よりも多くの人が見ているTVだからこそ、ここを基点に考えていくことができればいいな、と思ったりします。でも、「あいのり」はそのなかで今回の放送といい、見せる国際協力をしていると思いますよ。続きも是非みたいですね。

あ、もう長くなってきたので「あいのり募金」についてはまた今度。ちなみに、ヒデ、もっと頑張れよ!(笑)