NGOで海外で働きたい!…うん、でも、ちょっと待って!

今日もいつも通り事務所で仕事をしていたら、1本の電話がかかりました。僕は他の電話をしていたので、別のスタッフが取ったのですが、その電話は「NGOに就職したい」というものでした。「実際に、海外の現場に出て仕事をしたい」という電話。

実はこういう電話はよくかかってきます。夏休み前は特に多かったです。しかも大学4年生の方。「これまで国際協力活動やNGOの経験はありますか?」と伺うと、「ありません!」と断言されます。「じゃあ、どういう活動をしたいのですか?」と聞くと、「国際的な仕事をしたい」と答えます。なるほど、NGOというのは一般的には商社や政府系国際開発機関のような位置づけをされているわけですね。(その割には、イラクで人質になったNGOの人には冷たかったですねぇ。)

もちろん、大筋は間違っていないと思います。しかし、その電話を取っている僕も曲がりなりにもNGOスタッフであって、日本で地道に事務作業や広報作業を行っています。僕の場合は、ネットワークNGOというある種、特殊なNGOであるのは事実ですが、それでも所属団体のなかで、現地に職員をおいて活動しているNGOというのはほとんどありません。現地に行って活動する人というのはほんの一部です。

JICA(国際協力機構)のようにお金をもらって毎年数多くの若者やシニアが旅立つのはかなりの特例です。という以前に、もはや日本の「技術者」(そうでない人もJICAの青年海外協力隊などにはたくさんいますが)が海外で活動するというのは時代に反することなのだろうと思っています。行くとすれば、スペシャリストというよりもジェネラリスト、それもスペシャリストを経たジェネラリストだろうと思います。

少し前に「ワークショップ」のことを触れたブログで、「参加型」というものに触れましたが、途上国における援助のあり方は、その現地の人々がどれだけその事業に参加することができるか?ということが一番大事になります。現地にいる農業従事者や技術労働者、はたまやお役人さんも含めて、「そこに住む人」が考えてことをなすということが大切になります。もし、援助国からの支援が必要であるとすれば、それらをマネージメントできる能力を持った人、それも、農村開発であれば、農村開発の知識を持ちながら(スペシャリストでありながら)マネージメントできる人(全体を見れるジェネラリスト)こそが必要であるのだろうと思います。その人は同時にその事業のためにお金を集めてくる「営業」「ファンデーション」もできなければいけません。

たとえば、つい先日求人を出した、日本のNGOの老舗『シャンティ国際ボランティア会(SVA)』さんのホームページを見てみると、募集している「海外事業・企画調査課スタッフ」の業務(@カンボジア)はかなり広いです。

事業における計画立案や評価はもちろん、支援者への対応や現地を訪問する人の調整、講演や資金調達など、まさにすべてのNGO業務に目を配ることができる人でなければなりません。もちろん、同時にコンピューターのスキルに語学が必要とされます。しかも2か月後から即仕事ができるだけの経験もまた求められます。

NGOで学ぶ」広い意味では多くの学ぶことが現場においてあるでしょうが、実際の仕事は既に『知っている』ものとして行わなければなりません。それが多くの会員の方に頂いた会費や寄付、募金、また助成団体からの助成を受けるNGOとしての責任でもあります。

NGOで仕事がしたい!」とても僕たちにとっては嬉しいことです。しかし、経験がないとやはりどうしても難しいのが現実だと思います。では、そのためにどうしたらいいのか?ということを、次で考えてみたいと思います。また皆さんのご意見もお聞かせ下さい。