青年海外協力隊は今年がねらい目だった?

地方で国際協力やNGOの活動をしていてさまざまな所で出会い、またお世話にもなり、衝突もあるのが、JICA(国際協力機構)の事業で、海外に技術協力という形で国際協力に取り組む「青年海外協力隊」(以下、協力隊)の経験者の皆さんです。各県に一人はいる「国際協力推進員」の方々は、協力隊のOB・OGの方が多くなられています。

1965年に、JICAの前身、「海外技術協力事業団(OTCA)」で始まり(来年で40年ですね。税金使ってイベントでもするのかしらん?−意地悪?−笑)、現在では世界80ヶ国に2万5千人以上が協力隊員として世界に出ています。毎年、春秋の2回に募集が行われており、福岡市内でも地下鉄の車両の中を始めたくさんのポスターを目にします。その協力隊ですが、今年の応募者が激減しているそうで、3割減とのこと。毎日新聞記事にあるように、イラクでの邦人拉致事件などに象徴的に、海外での国際協力活動は危険だという認識の広がり、また中越地震へのボランティアの集中などが現任であるでしょう。

僕はてっきり、協力隊への応募は年々増えているものと思っていたのですが、記事によるとそうでもないようで、1994年のピーク(12000人)を境に一度はガクンと減り、その後2000年以降徐々に増え始めて昨年が1万人弱ぐらい。そして今年は7000人ちょっとという状態のようですね。もし、協力隊に行きたい!という人は今年は「穴場」かも?……とはさすがに上手くいかないわけで、先月半ばに締め切られています……。

ここ数年の応募者多数の状況を反映して、2003年度は予算額が234億円と2.6%の伸びをしめしているということで、JICAの2004年の年報によると、「長引く経済不況化で、ODA予算に対する厳しい環境が続くなか、ボランティア事業は、「国民参加型国際協力」の中核を担う事業として国民の期待と評価が高まって」いるらしいですね(pp.132)。もちろん、そんな記述はあっても、どんな評価が国民からこれに対してなされているか?ということは何も書かれていませんが……。(ちなみにウェブサイトではまだ2004年度版の年報は公開されていません。早く出せばいいのに。2003年度版はこちら。)

協力隊から帰ってきた人たちはどうしているんだろう?そんな疑問を持たれる方はウェブサイトの「帰国ボランティア」のページを見てください。このサイトの中を見てみると、半分くらいの人は帰ってきて就職しているようです。普通の民間企業が多いですが、これは復職の制度が昨日しているからかもしれません。その他にも「帰国隊員のNGO活動支援」として、NGOへの受け入れをするために1人あたり250万程度拠出されているようです(ちなみにこれはもちろん税金で行われているので公務員と同じですね。それだけの仕事をしないと)。

また各地のOB/OG会で他の仕事をしながら関わっている人が多いようです。福岡には先日、OB/OG会の中心である「(社)青年海外協力協会(JOCA)」の九州支部が、全国で初めてNPO法人化した「(特活)九州海外協力協会」があります(設立パーティーについてこちらの毎日新聞記事にあります)。こういうところで国際協力活動に国内で関わりながら生活をしているみたいです。

その一方で、NGOに関わりながらみていると、OB/OGの人はもっとたくさんいるだろうにもかかわらず、実はNGOレベルでそれほどの接点がないような気がします。いや、もしかしたら僕が特別そうなだけなのかもしれませんが、個人的にはそう思います。

上の九州海外協力協会の設立パーティーについての毎日新聞記事のなかで会長が発言している言葉が気になります。

「『夢がない』と言われる若者に海外に目を向けてもらうような活動や、退職された人たちのシニアパワーが発揮できるようなお手伝いに力を入れたい」

またホームページ上にもある「開発途上国・地域等への国際協力活動へ貢献したい」という言葉(「ごあいさつ」のページ下部)にも代表されるように、やはり未だに途上国の人たちへの視線がかけているように思えてなりません。おそらくこのあたりがNGOとの間になかなか協働できない理由があるのかもしれません。

ちなみに、福岡では帰国隊員達による「教室から世界をのぞこう」というプログラムが県内小・中学校でされています。NGOもいろいろとこうした教育機関への派遣を行っていますが、交通費程度で派遣できる、政府から大きな支援されているところがやると、さすがに普通の(?)NGOにはちと辛いですね、やっぱり。

個人的には帰国隊員の方とNGOがどのように協働できるのか?ということに関心がありますし、せっかく派遣地で得た経験・知見をいかせるようなことができればいいな、とは思っています。