ダルフールと「世界こども白書」

スーダンダルフール地方で起こっている紛争について、コフィ・アナン国連事務総長は「ダルフールの秩序は崩壊している」という報告を安保理に対して行ったといいます。政府と抵抗勢力との間の戦闘が激化し、新たな武装勢力が表れたこともあり、治安が極度に悪化しているようです(こちらの毎日新聞記事を参照してください)。記事にもある通り、先月の和平合意は単なる紙切れに過ぎない状況が起こっています。上に新たな武装勢力の表出を書きましたが、政府軍と行動を共にする民兵による村の襲撃もまた続いています。

ユニセフ(国連児童基金)は、『世界こども白書〜危機に瀕した『子ども時代』』のなかで途上国に住む子どもたち(18歳以上)の半分以上、10億人が貧困や戦争、エイズのために窮状に晒されていることを報告しました(こちらの毎日新聞記事を参照してください)。また半分の5億人が衛生的によい状態ではなく、4億人が安全な水を手に入れられず、3億人が情報へのアクセスができません。そして1億4000万人が学校に通えず、9000万人が深刻な飢餓状態にあるといいます。

イラクアフガニスタン北朝鮮でもそうだと思いますが、スーダンでもおそらく同様に、紛争や内戦の犠牲者となっているのはこうした子どもたちであり、女性だろうと思います。国同士の威信、また政治的なやりとりの中の犠牲者の姿を見ることができる人たちが政治の舞台にほとんど以内状況が、この報告書の裏に見えてきます。

日本もまたその仲間でしょう。小泉政権閣議自衛隊イラク駐留延期を採択しました。「日米同盟」「国際協調」という小泉の語る言葉に上のような現実は見えていないでしょう。また北朝鮮に拉致された家族に対して偽物の遺骨を持って答える北朝鮮の政府もそうだし、その国に対して経済制裁という、一番弱い人たちに大打撃を与えるような方法を取るように求める人たちも(もちろん気持ちは分かりますが)同じように見えます。

現実に、国家・政府がどうであれ、多くの人たちが直接的・間接的に力のあるものに殺されている現実をどれだけ誠実に思い描き、腰を上げることができるか?それしか問題解決の道筋はないのだと改めて思うのです。