ネットワークNGOと開発教育

堅い話も続いていたので、久々に活動報告を。毎週3日ほどNGOの事務所で仕事をしています…というのは以前書いたでしょうか?覚えてないんですが、某国会議員が辞職に追い込まれたときに口にした「ワークシェアリング」というものに近いものがあります。もちろん、現実にはその仕事の多さから、現在交代で入っている人が常に朝から夕方まで詰められるような状況になるといいのですが、この不況の折、それもまた難しいのも事実です。

NGO福岡ネットワーク(FUNN)という、いわゆるネットワークNGOといわれる、福岡の国際協力NGOが十数団体加盟するNGO。地域型ネットワークといわれます。NGOや国際協力活動そのものについて多くの人に知ってもらうための活動、それとともに、NGOが社会において活動しやすい環境基盤整備のための活動が中心になります。

前者はいわゆる講座や学習会の企画・実施や学校や他NGO地方自治体への講師派遣など「開発教育」または「地球市民教育」といわれる活動、また地域の国際協力・交流イベントへの関与やニューズレターやウェブサイト、メルマガなどを利用した広報などがその仕事です。またNGOや国際協力活動について知りたい人たちの相談を受けたりもします。後者は、政府や政府関係諸機関、地方自治体などへのアドボカシー活動やその受け入れ母体、また前半のなかで地域の人々への問題や実体の周知などのキャンペーンなども含むものと考えています。

今日は、そのネットワークNGOの運営委員会がありました。そろそろ来年度のNGOの事業のあり方や事務についてが議題になりました。ネットワークNGO は、あくまでそれぞれの団体の活動があってこその集まりであって、+αの仕事になります。このネットワークは10年以上活動を続けていることからも、皆さんがその+αの仕事を受け入れてくれ、上に書いたような広く一般的なNGOにおける活動に関心を持っている結果なのでしょう。

もちろん、「自分たちの団体で精一杯」そういう人もいます。ネットワークNGOではそれは禁句だろうと思わないでもないですが、でもそれは仕方ないのかもしれません。またその人たちが広くNGOの可能性を考えることができるような環境をNGOのために作ることも大事なネットワークNGOの活動になるのだろうと思います。

それにしても、ネットワークNGOはいつも資金的な面で苦労します。ただでさえ苦労している個々のNGOから活動費を今以上にもらうこともできるはずはなく、かといって上に書いたような活動で活動費を得ることが難しいものが非常に多いです。その辺りを解決するには、いわゆる「市民社会」というものの成熟が必要になるでしょうし、またそこからの支援を得るための税控除などの制度的な問題の解決もあるでしょう。

そのためにはやはり上のような活動をしなければならないという「メビウスの輪」的な活動にあるのもまた事実で、会計簿を眺めながら考える日々です。

そんな(?)事務所に今日は、「開発教育」を中心に活動する(特活)開発教育協会(DEAR)のKさんとSさんが訪ねてきてくださいました。Kさんは、911以降すぐに上の画像にあるような教材「Talk for Peace!」を作り、デモや署名というものの他に参加できる、考えることができる方法が欲しい、自分が関わっている「開発教育」というもののなかでできることを!という形にされました。

僕が『開発教育』というものが今ひとつのめり込めないのは、そこに関わっている人の問題意識の薄さというか、教材づくりなどの方法論への埋没、そして何より現在的な問題へのアクセスの鈍感さが目につくことが多いからというのもあります。(『開発教育』に関してはまた日を改めて。)

しかし、Kさんが向かう『開発教育』というもののあり方は、その現在的な問題と根元的な問題への深い追求というものに裏打ちされたものでした。そしてそれを使って何よりも『平和な世界』を作ろうという、デモや署名に匹敵するパワーを持ったものだったということもあります。

実は、僕は以前「Talk for Peace」を使わせてもらってアフガニスタン戦争開始後に勉強会を行ったことがあります。それを使おうと思った僕の意識とKさんの意識が近いものだったからだろうな、と今になって思うのです。現場に裏打ちされた経験を持つ国際協力NGOがこうしたものを『道具』として使って問題意識を広げていければ素敵だなと思うのです。ネットワークNGOはそうしたところでも協力できればな、とも強く思います。

Kさん、またお会いできるのを楽しみにしています。今日はありがとうございました!