水と援助〜企業のためのODA?

マレーシアの首都圏で水道料金が値上げされるという話を最初に聴いたのは9月21日のこと。こっちのブログにそのことを少し書きました。セランゴール州、クアラルンプール、プトラジャヤ地区で水道料金の2〜4%の引き上げを考えているというものでした。同時に、それは「水道事業の民営化」という、アジア太平洋資料センター(PARC)の最新号の『月刊オルタ』12月号でも触れられている「サービス貿易の自由化」の問題に繋がるものと、日本のODA(政府開発援助)の問題が関係してきます。

つまり、日本の行う『援助』としてのODA、なかでもいわゆる金貸し援助である円借款(有償資金援助)820億円超によって造られようとしているダム、ケラウダムの問題です。このダム建設プロジェクトが作られているのが新たな導水事業を求めているという問題です(同時に住民移転や環境問題がありますが、それについてはFoE Japanのページを参照してください)。

実際には、東京やロンドン、シドニーを上回る世界有数の水供給量を持つこの地域において新たな導水事業を進めようとしているのが、このプロジェクトであり、またそれに日本人のお金(この場合は、円借款なのでいわゆる財政投融資であり、年金や郵貯、簡易保険など)が使われていることをどう考えるか?ということが関わってきます。

セランゴール州では水道事業の民間委託を進めようとしているわけで、その理由は老朽化した水道管の交換に伴う支出を補おうとするものが一番の大きな理由の用です。しかし、セランゴール州はマレーシア国内でもこちらの南国新聞記事によれば、健全な財政状況を維持しているようで、無理をして日本からお金を借りて、環境破壊をして、住民移転を伴うような悪影響を生んでまで行うものだとは思えないのです。

その時は以後にあるのは、やはりWTO世界貿易機関)のサービス貿易の自由化の推進のなかでの水道事業の民営化というものが大きく関わっており、いうまでもなく、その背後にはグローバル水企業の存在が見え隠れします。

最新のニュースでは、この水道事業の民営化で運営業社に2社が決定したとのこと。

日本が行うODAがまた新たな火種として被援助国に対して悪影響を与えることが明白なこの事業「ケラウダム建設計画:バハン・セランゴール導水計画」。こちらのFoE Japanのウェブサイトに掲載された岡崎参議院議員の委員会での質疑応答を読んで頂ければ分かると思いますが、多くの、とりわけ円借款と呼ばれる金貸しODAのひとつの実体がこれなのだろうと思います。