とりあえず、この一冊!

ここのところガッツリと個人的に書いてきたので本の紹介をしますね。つい先日…といっても先月下旬ですが…に出版されたのが、左の『連続講義 国際協力NGO―市民社会に支えられるNGOへの構想』(今田克司・原田勝弘編著、日本評論社)という本。

連続講義 国際協力NGO―市民社会に支えられるNGOへの構想

連続講義 国際協力NGO―市民社会に支えられるNGOへの構想

よくよく考えてみると国際協力NGOのことをきちんと総論的にまとめた本と言えば、『NPO/NGOと国際協力 (シリーズNPO)』(西川潤・佐藤幸男、ミネルヴァ書房<2002年>)ぐらいで実際にはないということを改めて思います。国際協力NGOの活動は実際様々でそれを個別具体的にまとめ、また受け手は呼んでいくことで積み重ねるものだと思うのですが、それでもこうした総論的・教科書的なものというのは必要です。しかも、各論のNGOの本というのはどちらかといえば途上国支援型のものが多く、政策提言や社会運動までを視野に入れたものは皆無に等しいのが現実です。

NPO/NGOと国際協力 (シリーズNPO)

NPO/NGOと国際協力 (シリーズNPO)

今紹介した2冊は特色に大きな違いがあります。『NPO/NGOと国際協力』の方はどちらかといえば外から見たもので、『国際協力NGO』の方は内から、体験から出てきたものです。もちろん、どちらも一長一短がありますが、今回は後者の執筆者の多くが単に研究だけではなく、それぞれの活動を客観視し(できてないものもありますが)論じている点で、前者よりも優れているという気がします。

総論的な話から各論まで、現地支援型の活動から政策提言活動や社会運動まで網羅されています。現代日本の国際協力NGOについて知りたいなら、まずこれを手にとって!とNGO関係者も胸を張れるものだなぁという気がしています。(執筆者の多くも個人的に信頼できる方が多いですし。)

一方で、昨日までにこのブログで書いてきた「開発教育」や「キャンペーン」など、日本でNGOを考えるときやはり触れて欲しい…というか、触れるべきだろう項目もあるように思います。また、復隊取るにある「市民社会」を、つまりは日本社会に置いて「市民社会」または「市民」をどのように捉えるか?という視点をもう少し明確に、しっかりと出しても良かったな、という気がしています。

それであっても、日本でNGOに関わる人間としては、もし国際協力NGOに関心がある方には是非手にとって欲しい一冊です!