アチェで締め出される?援助機関

ジュネーブで開催された国連の支援国会議でフランスのクシュネル元保健相が、今回のインド洋津波を、多くの国の官民問わずの多くの支援や被災地でも国を問わない犠牲者という状況を見て「災害のグローバル化」という表現をしたそうですが(毎日新聞)、会議のなかでイゲランド国連人道問題調整官が語ったように、他の世界各地で起こっているさまざまな問題を「忘れられた危機」とならないような国際社会の取り組みが改めて求められています。

被災地での救援・復興支援活動は、アクターを問わず様々積極的に行われていますが、ここに来て、やはり今回の震源に近い、インドネシアアチェ州の政治・社会的状況が気になります。今年に入ってマスコミで報道されただけでも銃撃戦が続いていたり、治安が不安定なままのようです(例えばこちらの共同通信記事やこちらの朝日新聞記事など。AFP通信の報道に関してはこちらのページの1月6日付記事参照)。

また今回の地震津波被災支援で、アチェを中心的に支援する日本のNGOインドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)」の情報によると、インドネシア政府による海外からの援助機関・団体の締め付けが始まったそうで、ユスフ・カラ副大統領は、外国人のアクセスを州都のバンダ・アチェと西アチェ県に限ると発表しました。理由はこの両地域のみが国軍の完全なコントロール下にあるからだといいます(NINDJAウェブサイト)。この発表は、上で書いたバンダ・アチェでの銃撃戦後に急遽出されたもので、それ以前は制限はないという発表がされていました。

一方、反政府勢力とされる自由アチェ運動(GAM)は海外からやってきた援助ワーカーの安全を保障すると発表しています。そして次のように書いています(NINDJAウェブサイトより)。

インドネシア植民政府が国際援助ワーカーに対し、安全を保障できないと警告したことを理解している。これは、国際援助ワーカーの存在を非常に恐れ、彼らを追い払おうとするインドネシアの動きでしかない。この目的のために、町での無差別に発砲する、われわれの軍が援助物資の配給を妨害しているなどと誤った情報を流す、といった試みがなされている。たった一つの目的、つまりアチェから国際援助ワーカーを追い払うために。彼らはアチェにおける国際関与を好んでいないのだ。

一方日本のマスコミでは上のようなGAMの姿勢に少しは触れながらもインドネシア政府・国軍側よりの論調も見られます(読売新聞。ほかにも関連記事として朝日新聞毎日新聞、またロイターなど。ほかにGAMについての毎日新聞のルポ)。

ここ数日テレビのニュースでもアチェのことが繰り返して報道されています。何が真実か?ということは、それぞれ各人が判断するしかできませんが、そのためのインターネットという手段でもあると思います。新しい情報などがあれば、是非お知らせ下さい。

ちなみに今日は「インドネシアの債務」のことを書こうと思っていたのですが、導入のつもりだったアチェのことなどに触れている内にここまでの量になってしまいました。明日、パリクラブ会合の記事も少しは出てくると思いますので、それも踏まえてもう少しまとめてからブログに書こうと思います。