紛争後〜スーダン和平と社会の復興のための国際アクション

昨日紹介した伊勢崎賢治さんの『武装解除 -紛争屋が見た世界 (講談社現代新書)』のなかで、アフリカ・シエラレオネのことが書かれた章があります。同国での政府と反政府勢力(この両者は他国の歴史と同様に、その立場は簡単に入れ替わり、どちらが「正常」なのかは容易に判断を使いないことには留意する必要があります。そう、スリランカアチェ、そしてアフガニスタンイラクで起こっていることと同様に)の間の対立の中で起こった、世紀の大量殺戮ともいえる問題があります。

1999年からの和平の中でシエラレオネで一般市民を大量に殺害した勢力に対する法的な処罰が明確に行われることは結果的にありませんでした。それは、いろいろな政治的な判断も合った上でのことでしょうが(この辺りは東京裁判も変わりはしないのでしょう)、やはり家族や親類のなかのひとりはみんな殺されているだろうこの国でそうした社会的な問題を法的にしっかりと解決しないことにはなかなか前を向いて進むことは難しいのも事実でしょう。それは社会のなかに溶け込まなくてはならない武装解除された人々においても同じ社会のなかで生きていく上で最低限必要なことかもしれません。

同じアフリカで2つの地域紛争を抱えていたスーダンでは、このブログまた前ブログでも書いているように、南部で20年以上起こっていた和平がようやく進み始めました。そこでは、上で書いたシエラレオネ同様に、改めて国家として社会を機能させるための仕組みが必要とされています。そのひとつが、以下に紹介するような紛争のなかで起こされた多くの問題=犯罪を如何に捉え、対処していくか?ということでしょう。

国際人権NGOアムネスティ・インターナショナル」(日本委員会)では、昨日から3か月の予定で「スーダン危機アクション『スーダン:罪は裁かれなくてはならない』」が始まりました。国際的に国連に対して行われるアクションです。アムネスティのアクション要請文を下記に紹介します。

スーダンでは、21年間にわたって戦争犯罪と人道に対する罪が横行しているにもかかわらず、これらの罪の加害者は、1人として裁かれていません。
 21年間にわたって続く紛争で、200万人以上の人びとが死亡し、600万人が家を追われました。何千人もの女性と子どもが、誘拐・強かんされ、何百にものぼる村が破壊され、いまだに行方不明の人びとがいます。
 全世界が、スーダンで起こっている恐怖を知っています。しかし、これほど深刻な状態にもかかわらず、スーダン戦争犯罪や人道に対する罪を犯した者は、一人も裁かれていません。
 もし、戦争犯罪、人道に対する罪、その他の国際法に違反した加害者が裁かれないならば、このような犯罪は今後ますます増えると考えられます。
 国連安全保障理事会は、戦争犯罪や人道に対する罪を犯した疑いのある者を裁くことを求める決議を出しましたが、この要求はスーダン政府に無視され続けています。しかし、このような状況に対して、安全保障理事会は十分な行動を起こしていません。
 私たちは、国際社会の一員として、スーダンで最も深刻な罪を犯した者が、個別に刑法上の責任を問われるように、行動を起こさなくてはなりません。

具体的なアクションについてはホームページをご覧下さい。内容は、町村信孝外務大臣、そして1月の国連総会の議長を務めるアルゼンチンの外務貿易宗務省大臣への郵便、電話、ファックス、メールなどによる要請文の送付のようです。文章例なども掲載されていますので、ご自身でできるものをやることができればよいと思います。

募金という形ではなく、こうした形でも国際協力・NGOに関わることが大切だろうと思います。是非ご参加下さい。