中国の人口問題と人権

ウェブをみていたら、こんな記事があった。

1人っ子政策続く中国 男女出生比偏り深刻化 男児、152万人多く

【北京2日傍示文昭】人口抑制のため一夫婦の子どもを一人に制限する「一人っ子政策」を維持する中国で、男女の出生比率の偏りが深刻化している。中国紙の法制日報によると、二十年以上にわたり出生人口の男女比が拡大し、2004年は男児が女児より百五十二万人多く出生した。専門家は「20年には20―45歳の男性が女性より3000万人多くなる」と指摘しており、中国国内では医学的に不必要な性別鑑定や妊娠中絶を刑法で罰すべきだとの声が高まっている。(以下略、西日本新聞

ちなみに日本では、>総務省統計局平成17年国勢調査における結果の概要によれば次の通り。

平成17年国勢調査による人口を男女別にみると,男性が6234万人,女性が6542万人で,男性が女性より308万人少なく,人口性比(女性100人に対する男性の数)は95.3となっている。我が国の人口の男女別構成の推移をみると,大正9年から昭和10年までは男性が女性をわずかに上回っていたが, 20年には,戦争の影響で男性の割合が大きく低下して人口性比は89.0となった。その後,人口性比は96台の水準で推移していたが,昭和55年以降は低下が続き,平成17年は95.3となり,女性の割合が高まっている。(「1.全国の人口」)

つまりは、基本的に日本の場合は全体的にみて女性の方が多いというのが常のようだ。他の国の例を調べる時間もないので世界的にみればどうなのかは分からないけど、やっぱり中国の場合は「1人っ子政策」による悪影響がみられるのは間違いない。さらに新聞記事に寄れば「中国の農村部では、「男尊女卑」の風潮に加え、労働力の確保や老後の世話などへの期待から男児の出生を期待する傾向が強い。このため、妊娠初期に女児と判明した段階で中絶手術を受ける女性が後を絶たないのが現状」であるようだ。

妊娠中絶を刑で罰するか否か?というのは直接的には何の問題解決にもならないのは分かっていても、そうした議論が出てくる背景というのはよく分かる。しかし、これはNGOの問題とも相通じるところがあると思うけれど、小手先の対処療法的な問題解決では結局の所何も解決しないのは間違いない。例えば大部分が貧困層であろう農村部における構造的な問題解決に向けて、適切な支援を行い、同時に中国政府に対応を求めることは少なくとも同じ「人間」という視点においては外すことはできないだろう。それは例えば対中ODAを増やせ!ということではなく、国際社会全体で取り組むモノであり、地球市民的レベルにて求めることだ。

そういえば、国連改革の一環として人権理事会の創設があがっている。この中で欧米諸国は、一部の人権侵害を助長する国がこれまでジュネーヴの国連人権委員会に関わっていたことできちんとした役割を果たせていないと新しい人権理事会のしくみを提案している。(産経新聞@Yahoo!ニュース)。スーダンジンバブエなど実際にそれが問題である国も存在するが、同時にその視点が「欧米的」であってはならないのは言うまでもない。とはいえ、こうした国連における人権問題の取り組みを注視しながらも、それを支援し、また一方で自国内の人権侵害の問題、例えば先日の大阪のホームレス強制排除事件などは典型だが、にも目を向けて行く必要がある。決して、中国では…、北朝鮮では…、スーダンでは…ということではすまないのだ。