地方自治体とNGOの関係〜国際協力フェスティバルに見る

お久しぶりです。更新がなかなか思うようにできていません。それでもブログを覗いてくださる方がいるというのは嬉しい限りです。いつもありがとうございます。更新が進まなかった一番の理由は先月半ばから2週間ほど、カンボジアNGOの調査に行っていたことが大きいのですが、それでももう帰ってきてから3週間も発つのですから、これは完全な言い訳です・・・。

そろそろ年度も終わり新しい年度を向かえようとしている中で、来年度の行事や予定も次々と表に出始めました。勤務しているNGOの事業はさすがにもう何ヶ月か前から動き出していますが、ボランティアベースで関わるNGONPOもそろそろ「何をしようか」という大きな目標を立てる頃だと思います。ちょっとした学習会や講座であれば、広報をある程度しっかりしても2ヵ月半くらい前からそろそろと動き出せばよいので、今から来年度!という意気込みが強くあるわけではないのですが、それでも漠然と2006年度というのがどのような年であり、何を年次目標として立てようか・・・ということを考えなければなりません。

それでもやはりある程度の規模のイベントであれば、もうとっくに動き出していなければ辛いのが現実。一番の理由はやはり「資金」ですね。各種助成金が来年度の事業に関する募集を既に開始しているところが多くあります。自分たちの活動にあったものを選択し、申請を行う。もちろん、一番は資金をしっかり助成してもらえなければならないのですが、それでももらえようともらえまいと、「人に事業の意図を伝える」という作業を申請書書きを通して行うことで明確になると言うのは、とりわけ任意団体として活動するNGOにとっては非常に重要なことになるだろうと思います。スタッフやメンバー間で意思の疎通を図り、共に創り出していくという作業です。例え助成が得られなくても、こうしてスタッフやメンバーの間で作り上げた事業は、その団体にとって大きな財産となります。

もちろん、これはNGONPOに限らず、最近盛んな地方自治体の市民参加型事業にもいえることです。ここ福岡でも、NPONGOが単にイベントに出展するだけではなく、その企画や運営に関わるタイプの自治体の事業が増えています。国際協力イベントとして「地球市民どんたく」というNGO参加型事業がもう7〜8年行われており、僕がボランティアベースで関わっているNGO(任意団体)も5年ほど参加をしています。

この地球市民どんたくは、出店希望団体が実行委員会に参加し、具体的にイベントの企画や運営に参加します。事務局こそ、福岡市の国際交流に関する外郭団体が担いますが、大きな方向性や内容に関してはその実行委員会で積み上げて行われます。昨年、今は亡き(笑)ベイサイドプレイスで行われた「地球市民どんたく2005」は、その前年までずっと行われてきた場所から変更し、これまでは天神の人通りの多いところで行って「通りすがりの人を捕まえる」という方法から、「自ら参加者や訪問者を連れてくる」という方向へと大きな転換を行ったのです。これもまた福岡の国際協力NGOの大きな決意でした。残念ながら、今年はベイサイドプレイスが使えないということで、どのような方法を取るのか・・・と気にしていたところ、今年度は毎年9月に天神の福岡市役所前で行われている「アジア太平洋フェスティバル」のなかで行われるということになってしまいました。「アジア太平洋」のなかに「地球」が入るというこの皮肉(苦笑)。

もちろん、この決定に対してこれまで参加をしてきたNGOを中心に自治体側から呼びかけが行われ、2度ほど話し合いが行われました。僕はその内のひとつにしか参加できませんでしたが、その話し合いは「話し合い」と呼ぶことができないくらいの「決定事項」であったのは僕が知る限り多くの参加者が共有していたことでしょう。「他の場所でやれるのであれば、それを検討したい」という発言も「代替案はあるのですか?」という一言で終わり、具体的な名前を出しても、その場で「無理でしょうね」という何の根拠もない提示で終わる始末。去年は、新たな場所探しを行うにあたって、実行委員会を複数回開き、実際に候補地に足を運び、その上で決定してきたはずです。少なくとも、新しい場所のメリットやデメリットというのを明確にする必要があるにもかかわらず、とにかくこれでどうでしょう?という発言は、もはやお金を出す側の傲慢さといわれても仕方がないのかもしれません。

もちろんNGO側にも問題があるでしょう。自分たちがこのイベントをひっぱるという思いが少なかったのかもしれません。こうした国際協力イベントは参加して宣伝して、活動費を稼いで終わるという形で関わる部分が多いのも事実です。自分自身も含めて「自分たちで作る」という意思が明確ではなかった。ただ、1ヵ月やそこらでこうした事柄を決定しようとすれば、自分たちの団体の活動との兼ね合いでどれだけできるか?ということを明らかにするにも不十分な時間であるのも事実です。

ただアジア太平洋フェスティバル側に出されたコンペがそうしたNGOの参加を唱ったものが通ったという事実から始まったこの姿はこれからどのようになるのか?というのは考えなくても分かるような気がします(実際、フェスティバル側と地球市民どんたく側の間のミーティングは福岡のNGOの多くが動くことができない昼間に設定されました。この辺りを見ても行政側のスタイルというのはよく分かりますね)。それでもこれまで数年関わってきたイベントが台無しになるのは困るので、少なくとも失敗をしないように・・・と皆さんは考えられているでしょう。今の自治体主導の、けれど市民参加型を唱ったこうした事業に対して、どれだけ市民の側から声をあげ、動くことができるのか?ということを試されているように思います。NGO側はしっかりと連携を取りながら、言うべき事はいい、変えるべきことは変えるという積極的な姿勢で取り組んでいけるよう、意見交換をして協力できればいいな、と思っています。そして行政側もそうした声を取り入れて行く姿勢をもっと・・・いや、少しは見せるべきでしょう。今は、ただ形式上しかやっていないと言われても仕方がない状態だと思いますよ。