NGOの居場所、事務所が欲しい?

NGOをはじめようという人も、もうすでに活動を始めている人も悩ます問題のひとつに「事務所」があります。もちろん、必須事項ではなく、任意団体の多く、NPO法人のなかにも「事務所」という場所を持たずに活動しているところが多くあります。その場合は、代表者や関係者の自宅を事務所として活動をしています。しかし、活動の規模が広がり、多くの人が活動に関わってくるようになると、「集まる場所があればなぁ」と考えるようになります。多くの場合は、それを公的な施設や半官半民のNPOセンターのような場所にミーティングなどのたびに集まるようになるのですが、事務所機能まで持たせることのできる施設やセンターなどは少なく、結局多くの郵便物や活動資料などは自宅に集まることになります。ここでの不便は、活動に興味を持った人が容易に団体にアクセスすることが難しくなることです。そして、NGOの多くは、人が集まることができ、活動をコーディネートするための事務所を欲します。

そこで家賃を払って事務所を確保することができればいいのですが、資金的な問題やそこに詰める人の雇用の問題を考えるとなかなか楽ではありません。ただの電話番であっても、人を事務所に置く以上、必要経費が必要となり、またかさんでいくのです。

例えばそのひとつの解決法は、複数のNGO/NPOが協力して共同で事務所を作るという方法です。福岡には、7〜8年くらい前に「福岡NPO共同事務所『びおとーぷ』」という場所ができました。2002年に移転をし、現在は博多駅近くに一軒家を借り、とあるNPOメンバーであり、またデザイナーの仕事をしている方がその建物(一軒家です)の1Fに事務所を置き、同時に共同事務所の管理・運営を勤めてくださっているおかげで、現在でも事務所機能を果たしています。おかげで、加盟団体は自分達の団体のミーティングなどを適時その場所で行うことができています。

先日、来月行われる全国会議のミーティングのために名古屋を訪れました。会議を取り仕切って下さっている(特活)名古屋NGOセンターについては前にもご紹介しましたが、このセンターが3月まで事務所をおいていたのが、「NPOプラザなごや」という、民設民営のNPOサポート施設でした。ここは、(特活)市民フォーラム21・NPOセンターという団体によって運営されており、複数の団体が事務所を置くほか、インキュベート・オフィスと呼ばれるいわゆる共同事務所にも複数の団体が入り、またレターボックスやロッカーのみを利用する団体もあり、名古屋駅から近いこともあり、非常に有益に使われている4階建てのサポート施設です。

しかし、この4月から名古屋NGOセンターが新たに事務所を移したのが、「COMBi本陣」と呼ばれる地域密着型ビジネス支援施設です。このエントリーの写真はすべてこちらの写真なのですが、かつて小学校であった建物を「創業支援施設」と「NPO活動支援施設」という形で2棟を生かし、北側棟をNPOの事務所として開放しています。小学校の教室ひとつまたはそれを3等分程度にしたそれぞれの事務所をNGO/NPOが借り、拠点として活動をしています。セキュリティはもちろん、ネット環境もしっかりと備え、広い事務所を有意義に使うことができているようで、非常にうらやましい施設でした。

そういえば、福岡でも旧冷泉小学校にて、NGOやNPOによるお祭りが開かれ、教室ごとに団体が様々な活動紹介やアピールを行っていたことを思い出します。その後、小学校自体がどのようになったのかは知らないのですが、昨年4月ごろに訊ねたときには校舎のいくらかは取り壊されていました。2年ほど前にアートのイベントが開かれたり、福岡市のほうでビジネスなどの人材育成や地域活動支援のために用いる・・・という話も聞いたことがあるのですが、現状は全く知りません。ご存知の方はおられますか?

どちらにしろ、NGOが活動拠点を持つというのは非常に有意義なことは間違いありませんが、独自でマンションの部屋や事業事務所を借りることはまだまだ活動規模の問題から容易ではないのも事実です。行政と協力していく中で、現在使用していない建物やその中の部屋を安価で提供することや、企業と協力して相した場所を作り上げていくなど、活動基盤整備を進めていくことも非常に重要なことだと改めて思います。その意味で、今働いている事務所を快く貸してくださっている大家さんには心から感謝しています。