対立的な信頼関係を構築する。

「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーン事務局のお誘いがあって、来日していたクミ・ナイドゥCIVICUS*1事務局長を囲んだNGO意見交換会に参加するために東京に行きました。詳しくはこちらのページを見て頂ければプロフィールなどが載っていますが、反アパルトヘイト運動に参加し、また教育や開発、女性や子どもの人権問題などさまざまな分野で南アフリカ社会の民主化に尽力した人物。一見、厳格な人かと思っていたら、何ともフレンドリーな人で、会議前に笑顔でにこやかに手を差し出して挨拶をしてもらいました。南の国の債務の問題に取り組んでいるとジュビリーの名前を出すと、「おー、すごく大事な活動だ。頑張りましょう」ということを言ってくれました。なんだかすごいオーラを感じる人でした。

意見交換会は、参加者20数名がお互いにそれぞれの活動の報告と2008年の日本でのサミットに向けての取り組みなどについて紹介したあと、クミさんから彼が取り組んできたこれまでのサミットに向けての市民社会の動きやその構築などについての話がありました。ロシアでは「シビル・サミット」という市民レベルの並行国際会議が行われ、もちろんロシア政府の思惑も十二分に噛んでいるとはいえ、市民社会と国家との間の単なる対抗的な会議ではなく、対立的な信頼関係に基づく1つの形を提起したものであったようです。日本でも意見交換会の日に外務省で副大臣と面会し、「あのロシアでもシビル・サミットを行ったのであるから、日本ができないわけはないですよね?」と話をしてきたそうだ。

日本のNGOは、アジアのいくつかの国のように歴然とした国際協力NGO同士の対立はほとんどないものの、逆に陰湿な対抗意識のもとで協働できない雰囲気があるような気がします。求める社会の形が大きく異なっていれば、なかなか協働は難しいとはいえ、しかし最大公約数的にまとまる必要がある場面もあります。もちろん、全てにおいて協働が必要なわけではなく、やはりここでも対立的な信頼関係というものが必要になるでしょう。そのなかで、原理原則だけではなく、効果的な結果を生み出すための環境作りに協力できるところがあるのではないかということを考えました。

「ほっとけない…」事務局の皆さん、お誘いありがとうございました。また是非、有意義に協働できますように。

Civil Society at the Millennium

Civil Society at the Millennium

*1:世界の市民社会と市民活動の強化を目指す550以上の団体や個人が102カ国から参加する国際組織(本部:南アフリカ