台風のなかの国際協力セミナー

先日のエントリーで書いた「地球市民どんたく2006」及び同時開催の「アジア太平洋フェスティバル(アジ太)」は結局、広告代理店の思惑に対する台風13号の好意により(笑)、16日でブースは終了・撤去されました。想像していた通り、自分の団体がブースを出した16日は朝から不安定な天候に見舞われ、午前中はアジ太もオープンを見合わせていたこともあり、人がほとんど来ず、オープンした午後からも単なる人の通り道と化し、「むこうとこっち」の余りの落差に参加団体自らがなにやら奮起しないと精神的にも厳しい感じもしました。ただ、それでもどんたく側参加団体は熱心に声を出したり、頑張っていたのですが。

それでも17日に予定されていた「国際協力セミナー」はなんとか無事に開催に漕ぎつけることができました。公共交通機関が次々に運転を見合わせる決定をし、デパートや商店街なども閉店を考え実行し始めるなか行われたセミナーは、それでも多くの参加者の人に恵まれ、講師の方々も無事に福岡にたどり着いてくださって、時間を短縮したものの、それでもなかなか面白い組み合わせで行えたのじゃないかなぁと思います。

メインゲストはお二人。ひとりはJICA職員でありながら、国内外で「野球」をテーマに国際協力活動を行っている友成晋也さん。ご自身の団体「アフリカ野球友の会」の設立の経緯から団体が行っている活動や目指していることなどをお話下さいました。下記の友成さんの著作『アフリカと白球』にもあるのですが、野球を通じて「生き甲斐を持つ」というある種精神的なところから「貧困問題」に立ち向かおうとする姿が、ちょっと新鮮で、すべてに同意することはできないですが、「なるほど」と考えるところもありました。ただガーナの子どもたちが口にした「野球は民主的だ」という言葉を紹介されていたのですが、日本のODAで世界中で行われる野球を通じた国際協力がそうした趣旨ではなく、親米的なある種の政治性を持っているような気がするところは相変わらず引っかかるのもまた事実です。

アフリカと白球

アフリカと白球

もう一人は、未来バンク事業組合田中優さん。環境問題から日本の政府開発援助の問題点を経由して「お金」を巡る問題を概観し、市民自らがお金の使い道を考える1つの方法として、いわゆる市民バンクを提起するというお話です。これまで、ここのブログでも書いてきましたが、日本で銀行に預金したお金が国債を経由してアメリカの軍事費になっていたり、郵貯や年金が金貸しODAとなり途上国の環境破壊に繋がっていたり、また日本の農業を守るというタテマエの農協系の農協中金を経由して農作物の貿易の自由化を求める世界銀行IMFに流れているということをガッツリ、しっかりお話しされました。自分のお金がそうしたところに繋がっていることに意識的であることは改めて必要です。もともと税金を何に使われているのかさえ無自覚になりがちなこの国で、そこまで求めるのは難しいのでしょうか、それでも分かりやすいお話でした。ご興味のある方は『戦争をやめさせ環境破壊をくいとめる新しい社会のつくり方―エコとピースのオルタナティブ』または下記の本などをご覧下さい。セミナー時間短縮により、十分にお話を聞くことはできませんでしたが、それぞれ面白く、興味深い、参加者の心に何かを残すものだったかなあと思っています。お話を聞かれた方は是非ご感想をお伝え下さい。