NPO/NGOにとっての会員制度

久しぶりに他団体の講座に出席しました。ドタバタしていてあまり他団体の学習会に出る機会がないままで、ずっとアウトプットが続いていたので良い機会でした。しかも国際協力系の学習会ではなく、NPO系の学習会「NPO"そもそも"勉強会」というものです。他団体の学習会と書きましたが、正確には自分の団体も関わっているもので、ふくおかNPOセンターが中心になり、福岡で活動するNPO/NGOのいくつかが集まり、「会員制度」という視点から、市民アクター同士が協働して広報やパブリシティ活動を行うと共に、社会に信頼されるNPOとしてのあり方を模索し、市民とNPOの「出会い」を勧めることを目的として行う「すてきなNPOとの出会いプロジェクト」を行っています。その第1回目の学習会でした。

今回のテーマは「会員制度総論〜組織を強くする会員制度のあり方とは」。会員制度のそもそもの意義と運用の状況、また課題について、(特活)日本NPOセンター理事・事務局長の田尻佳史さんからお話を伺い、参加者同士で意見交換や共有をしようというものでした。

田尻さんの講演タイトルにあった「組織を強くする会員制度」という位置づけは、あまりに当たり前ではあるのですが、自分自身が活動している団体のなかでどのように会員制度を考えているか?というとなかなか「組織を強くする」というところと結びついていないようにも思います。この「組織を強くする」というのは、会員制度によって生み出される「会費」という視点に大いに関わりがあります。つまり、NPO/NGOの「財源」に関わるものです。


上のグラフは田尻さんの講演資料及びお話であったものを少し変えてまとめたものです。NPO/NGOの財源というものを考えた場合、大きくは4種類あげられます。このなかでNPO/NGOがNPO/NGOであるがゆえに重視する必要がある部分が、市民からの支援であり、なおかつ自ら生み出す財源である「会費」であることは言を待ちません。しかし、行政主導NPOが多数生まれていることに象徴的なように、ここの割合が減少傾向にあるのもまた現実です。その「会費」部分の財源をどのように増やしていくか?ということが今まさに求められているのだと改めて思います。これはNPO/NGO自身の活動が社会において何を体現しているのか?という「正当性/正統性」を生み出すことにもなります。

同時に、この会費部分をしっかり考えていくことは「正当性/正統性」に加えて、安定した財源を生み出すことにもなります。波のある自主事業による財源、ともすれば下請へと成り下がってしまう受託/委託事業、また長期間の獲得が難しい寄付や助成・補助金の占める割合が多くなれば、活動そのものが安定せず、常に不安にかられることになります。

また会費の象限にさらに4つの区分を示していますが、会員になって下さり会費を納めてくださっている人たちもまたひとくくりにできるものではなく、そこには様々な思いがあります。会員の皆さんがどのような思いを持ち、NPO/NGOに関わってくれているのか?ということをきちんと考え、それぞれに適当な働きかけをしていくこともまた同時に求められます。

正直、NPO/NGOはそれぞれの事業(自主であれ委託・受託であれ)に、社会の様々な問題解決やニーズの消化を求めていくため、この「会員」というところは二の次になりがちであるというのもまた事実です。しかし、実はその「会員制度」こそが、自らの活動に安定性を与え、また「正当性/正統性」を与えるものであることをきちんと認識し、それに向き合って取り組む必要があると改めて感じました。

NPO基礎講座

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