NGOのスタッフとなるためには

以前、このブログの親サイト『国際協力・NGO情報ブログ』の情報欄にもお知らせしたのですが、今月中旬頃まで、僕の働いているNGOで有給事務局スタッフを公募していました。「有給」とは言っても、最高でも月額10万円余りしか出せず、しかもNGOの財源の問題から、半年の期間しか今のところ補償できないという非常に募集する方としても辛い募集でした。正直、応募してくださる方がおられなくても仕方ないという気持ちでいたことは否定しません。しかし、蓋を開けてみると予想以上のご応募があり、綿密な選考が必要となるほどのものでした。上に書いたような気持ちでの公募でしたので、その選考で残念ながら不採用通知を出さざるを得ない方には本当に心苦しく思いました。

ここ数年、いわゆる国際協力NGOでもきちんと給料をもらい、それで生活を送ることができることができるという人の数はそれなりに増えているように思います。数年ほど前に、NGOで給料をもらい、生活をしている人が日本に1500人くらいいるという話を聴いたことがあります。おそらくそれよりは増えているでしょう。しかし、僕の働いているNGOもその数に入っているだろうと思われるので、その意味ではこれだけで生活できる人となるともっと少なくなるでしょう。しかし、個人的には「そんなにいるのか!!」と驚いた覚えがあります。とはいっても、例えば僕の働いているNGOの場合は3人の有給スタッフがいます。額には大きく差はあれど、3人程度の有給スタッフがいるとすれば、500団体程度しか有給スタッフがいないことになります。この数を皆さんはどう思うでしょうか。

一方で、国際協力NGOの人材育成事業を行っていると、国際協力の舞台で働きたいという人は若い人を中心にかなりの数に上るのを実感します。知識や能力の差はあれど、多くの人が国際協力を仕事に、そしてNGOを舞台として働きたいと思っているのですが、その受け皿となかなかなりえていないのが現実です。

NGOの側の体制の問題における不備は重々承知しているものの同時に、国際協力NGOに対する社会の理解が十分ではないのもまた事実であるとも思います。例えば下記のように海外では非常に多くの人が国際協力NGOを支える現実もあります。

毎年500万人以上のオランダ国民が開発協力関連プロジェクトに直接的に関わっている。また、国民のほぼ半分が、寄付の提供、募金キャンペーンへの参加、開発NGOの会員となるなど、なんらかの形で開発協力に関わっているという。
直接関わっている500万人は、オランダの人口の3分の1にあたる。寄付など間接的に関わっている人が国民の半分というのも、この国で生活すると、さもありなんと思える。
長坂寿久『オランダモデル―制度疲労なき成熟社会日本経済新聞社p.148

オランダモデル―制度疲労なき成熟社会

オランダモデル―制度疲労なき成熟社会

市民社会アクターであるNGOが活発な活動を行うには、やはり社会の理解と協力が必要であると改めて思います。同時にそのために情報開示などアカウンタビリティ能力をはじめとして、あらゆる努力もまたNGOには必要となるでしょう。お互いに、お互いが協力しやすいしくみを少しずつでも作っていけるといいなと改めて思います。

ともあれ、僕の働くNGOでは次年度スタッフの候補が固まってきました。新しいスタッフと一緒にいろんな活動ができるのが今から楽しみで仕方ありません。