日本とマラウイの新しい関係

アフリカに一村一品運動を マラウイで国際セミナー中国新聞
(関連)プレスリリース「 一村一品運動親善大使」について」(外務省)

JICAが行うセミナーで、5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD4)や7月の北海道洞爺湖サミットに向けて、日本政府のアフリカ支援の取り組みの柱としてアピールするという。

一村一品運動は日本政府が非常に力を入れて取り組んでいる国際協力の形のひとつで、その紹介は首相官邸キッズルームなどにもあり、そこで一村一品運動についてこのように説明している。

一村一品運動とは、地域に住む人々が自ら誇ることのできる特産品を見つけ出し、国内だけでなく国外の人々にも買ってもらえる魅力ある商品にすることです。もともとは、昭和54年(1979年)に大分県平松守彦知事(当時)が提唱した地域活性化のための運動でしたが、地域住民がその地域の特色を生かしながら自らの力で地域の活性化をはかる試みとして注目を集め、他の都道府県にも広まっていきました。

そしてWTO世界貿易機関)香港閣僚会議のなかで日本政府が打ち出した「開発イニシアティブ」の一環として、「自由な貿易によって開発途上国が十分な利益が得られる」ための方策のひとつとして取られているモノがこの運動であるとも紹介している。

また同じく首相官邸キッズルームでは、「途上国の自立を助ける一村一品運動〜アフリカ版「一村一品運動」に取り組むマラウイ共和国」という形で、ガーナとともにアフリカでこの活動に取り組むセネガルの様子を紹介している。また今年からはエチオピアセネガルでもこの支援をスタートさせる(毎日新聞「一村一品運動:アフリカに広がる 外務省とJICA、貧困対策の“切り札”に」)。あわせて、こちらの「マラウイ 一村一品運動(One Villege One Product in Malawi)」のウェブサイトも参考に。

ちなみにマラウイは昨年3月に日本からの有償資金援助(円借款)などによる二国間債務総額約227億7,948万円を帳消しされることになった(外務省)。この帳消しに関して具体的にどのようなスキームによって行われたのかは明確ではない*1。ひとつわかることは、これまで貸す/借りる、また、あげる/もらうという関係だった日本とマラウイの関係は新たに、輸入と輸出という枠組のなか、つまりは経済のグローバリゼーションの枠組みのなかへと進めるモノであり、それが新しい強者と弱者の関係の創出ではないことを願うばかりだ。

一村一品運動と開発途上国―日本の地域振興はどう伝えられたか (アジ研選書)

一村一品運動と開発途上国―日本の地域振興はどう伝えられたか (アジ研選書)

*1:「拡大重債務貧困国イニシアティブの枠組みにおいて包括的な債務救済を受けるために必要な条件を満たした国に対し、JBIC円借款債権及び適格な商業債権を放棄するという1999年のケルンサミット及び2000年の九州・沖縄サミットにおける声明に基づく我が国の方針の下、行われるもの」とされている。