子ども1人にラップトップ1台を!

「子ども1人にラップトップ1台を」、米慈善団体AFPBB News

 「世界中の貧困層の子どもたちに、コンピューターサイエンスと接触する機会を提供することを目標とし」て活動している米国のNPOOne Laptop per Child基金OLPC)」が米国国内の農村地域に住む子どもたちにたいするコンピューターを購入したという記事。OLPCは、子どもたちへの教育の機会を提供することを目的として、マサチューセッツ工科大学ニコラス・ネグロポンテ氏らによって立ち上げられたNPOで、100ドルパソコン「XO」という高耐環境性・低消費電力を特徴としたラップトップを提供している。このNPOには、Googleニューズ・コーポレーションAMD、レッドハット、ブライトスター、ノーテルなどの企業が協力している。すでに昨年からブラジルやウルグアイなどでこのXOの試験的配布が行われているが、米国国内では初めて配布されたようだ。(マサチューセッツ州知事で先ほどまで共和党の米国大統領候補として活動をしていたロムニー氏は同州の全児童に配布する法案を提出しているようだ。)
 もともとデジタルデバイドの解消を目的としたモノではなく、あくまで上記の通り教育機会の提供を目的としており、国連開発計画(UNDP)も協力することを明らかにしているが、ネットが現在大きな役割を果たすようになっているなかで、この活動が果たす役割は大きいだろう。その一方で、商業ベースでのXOの提供も考えられており、今後の経緯に強く関心を持っている。

グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]

グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]

新たな緑の革命?

ウガンダ:“アフリカ緑の革命”の実態あらわに(JANJAN

ウガンダでは以前、政府が新種の種の生産および農家への配給の監督/助成を行っていた。しかし、米国政府と米国慈善団体の働きかけによる1990年代の構造改革により、このシステムは一変してしまった。動きは、バイオテクノロジーおよび化学製品製造業界により“新たな緑の革命”の名の下に推し進められている。

 そういえば日本はネリカ米(New Rice for Africa)なる新種米の普及に向けてODAによる支援をアフリカに対して行っているが、上記記事にあるウガンダである種の「善意」のもとで行われる働きかけによって行われる市場化に対し、世界銀行などが構造改革の名の下で進めた民営化による弊害がまたあらわになった格好だ。これが目的で…ではないと願いたいが、80年代の国際援助行政においては大きな問題点がやはり強くある。

サミットが近づいたからPKOの派遣先を増やそう?

PKO派遣先 政府、拡大模索 サミットでアピール狙う東京新聞

 サミットに向けて、いわゆる「我が国が平和に向けてできること」というのがとにかくリストアップされているわけだが、世界28ヵ国で119ヵ国9万人が参加するPKOの派遣先を増やそうというものもあるようだ。

 このため、首相官邸や外務省は「国連経費の負担では米国に次いで二位、経済力でも世界二位でこの実績はいかがなものか」(高村正彦外相)と国際社会での地位低下を懸念し、新たな派遣を模索し始めた。
 具体的には、スーダン南部に展開している国連スーダン派遣団(UNMIS)や、イスラエルアラブ諸国の国境地帯で停戦ラインの監視活動を続けている国連休戦監視機関(UNTSO)、東ティモールの国家建設支援に当たっている国連東ティモール統合支援団(UNMIT)などが候補に挙がっている。

 国連経費の負担が2位であることや経済力が2位であることが理由とは不思議なことを言う閣僚であると思うのは私だけではないはず?!

アフリカ開発会議(TICAD4)関連記事(リンクのみ)

5月に横浜で「開発会議」 45カ国の首脳参加へ(FujiSankei Business i)
約45カ国の首脳級が参加 5月に「第4回開発会議」MSN産経ニュース
→ほぼ同じ記事(同系列マスコミ)。

アフリカの農薬蚊帳の問題とODA

【グローバルインタビュー】アフリカで蚊帳を作る日本に感銘MSN産経ニュース

 サミット及びアフリカ開発会議(TICAD4)に向けての、ジョイ・プマピ世界銀行人間開発ネットワーク担当副総裁へのインタビュー記事。このなかで、住友化学(株)による感染予防のために防虫剤練り込み蚊帳「オリセットネット帳」についても言及されています。年間3億人が感染し、100万人以上がなくなるという感染症マラリアの予防のための技術支援としてアフリカで広がっています。世界保健機関(WHO)らによるアフリカでのロール・バック・マラリア・キャンペーン(マラリア防圧作戦)にも参加しているとのことでした。
 タンザニアの蚊帳を作っている現地企業に無償の技術協力という形で現地生産をしているこの蚊帳も、2005年9月には現地に合弁企業を半々の出資で設立し、それまでの3倍近い生産を行っているようです。日本政府もこの防虫剤入り蚊帳については日本の技術協力としてさまざまな場所で喧伝していますが、もちろんこれにODAがつぎ込まれています(ひも付きですね、いわゆる)。とはいえ、この蚊帳でアフリカの人々がマラリアに感染する心配が減り、健康な生活を送ることができるのであれば問題ありません。
 しかし、一方で、この農薬入り蚊帳に対して、現地住民の健康被害を問題視するNGOもあります。(特活)サパ=西アフリカの人たちを支援する会は、ウェブサイト上で「農薬蚊帳の配布反対」について以下の2点から述べている。

(1)この蚊帳に練り込まれている農薬「ペルメトリン」には、発がん性の恐れがあるむねアメリカの科学アカデミーが指摘している。蚊帳利用者の健康を阻害する可能性が極めて高いことを裏付けている。農薬の危険性の論議の前に指摘したいのは「蚊帳に農薬が必要かどうか」である。蚊帳には元来蚊を内部に侵入させない機能が備わっているため、糸に農薬を練りこむ必要がないことは、サパのギニアでの活動が立証している。
(2)サパは、ギニア産蚊帳を農民中心に配布しているが、1張り当たりのコストは約200円前後である。農薬蚊帳1張りに対し3倍以上の数量配布ができることになる。マラリアの予防に蚊帳は有効であるが、利用者の健康を阻害し、コストの嵩む農薬蚊帳は不要で且つ、税金の無駄使いと言わざるを得ない。

 実際、サパが配布しているという無農薬蚊帳のコストは200円程度で、住友化学の「オリセットネット帳」の700円程度と比べても割高であるというのが第2の点。最初の発ガン性の恐れのある農薬の使用については「なぜ必要なのか?」という正直な疑問がやはり私自身にも浮かんでくる。同ページで、途上国からの研修生を招き農村リーダー養成研修などを行う、アジア学院の田坂氏が「蚊帳に接触した蚊を殺すことが目的であれば、有機塩素系化合物の構造を持つ、ペルメトリンのような合成ピレスロイドではなく、蚊帳の外の屋内の蚊を除虫菊で作った蚊取り線香防除することもできるはずである。」と書いているが、確かにそうであろう。
 単に「ひも付き」「利権」としてのODAではない!ということを示すためにもここの理由は明確である必要があろう。

国際協力やNGOに関する新刊・近刊情報

 国際協力やNGOに関連する書籍の新刊・近刊情報です。

人類学と国際保健医療協力 みんぱく 実践人類学シリーズ (みんぱく実践人類学シリーズ)

人類学と国際保健医療協力 みんぱく 実践人類学シリーズ (みんぱく実践人類学シリーズ)

文化人類学は日本の国際保健医療協力にどのようにかかわっていくのか。本書は6つの事例をもとに、これまで接点のなかった2つの領域の関係性を探り、各地域に適した医療協力の可能性を追究する。2006年に開催された日本国際医療協力学会と日本熱帯医学会合同大会の講演とシンポジウムをもとに構成(明石書店ウェブサイトより)

台頭する中国の草の根NGO

台頭する中国の草の根NGO

中国国内の環境意識や社会的ニーズの高まりを受け、「国家」や「市場」の利益に翻弄されない自発的な第三の市民社会組織が中国国内で勢いよく拡大を続けている。政府がもはや市民生活の末端まで管理できない現状で、社会の認知と評価を得、提携協同を強めつつダイナミックに変動している中国市民社会の胎動を伝える1冊。

越境するNGOネットワーク

越境するNGOネットワーク

緊急人道支援から紛争後の平和構築にいたるまでのプロセスにおいて、ネットワークを活用したNGOの諸活動を、カンボジア紛争の事例から捉え、実証的に分析する。

未来をつくる資本主義 世界の難問をビジネスは解決できるか [DIPシリーズ]

未来をつくる資本主義 世界の難問をビジネスは解決できるか [DIPシリーズ]

気候変動、エネルギー問題、人口増加、テロリズム……深刻化する世界の難問はビジネスが解決する!
真の「持続可能なグローバル企業」とは、世界の貧困国のクオリティ・オブ・ライフを高め、後世のために地球の生体系の健全性を守るビジネスを創造し、なおかつ利益を上げる企業である。
21世紀に求められるのは、多くの犠牲を払い少数に富をもたらした産業革命の資本主義ではなく、経済ピラミッドの底辺に想像を絶する莫大なビジネスチャンスをつくり、既存企業の地位を奪う、新しいダイナミックなグローバル資本主義である。
人類を持続可能な社会へ導くのは、この世の中で企業しかない!

バーチャルウォーター(仮想水)

日本の輸入食料、海外産地は水427億トンで生産(読売新聞)

日本への食糧輸入に伴って生じる輸出国の水使用量が、1年間の合計で約42・7立方キロ・メートル(427億トン)に及ぶことが、東京大生産技術研究所沖大幹教授らの研究グループの推計でわかったという記事。これまで沖教授らが発表していた約627億トンのバーチャルウォーターでは日本で生産した場合の数値を当てはめていたためで、今回は、「輸出国の食糧生産実態に即し、河川からの取水、貯水池の操作による引き水の量などを細かく計算。日本に輸入される主要な小麦やトウモロコシなどの穀物類、牛肉や豚肉などの畜産物類計8種の生産に使われる水の量を「ウオーター・フットプリント」として求め直した」とのこと。

詳しくは下記ウェブサイトを参照してください。

『日本のウォーターフットプリントの7%は非持続的な水源?』東京大学プレスリリース)

水の世界地図

水の世界地図